月別アーカイブ: 2019年11月

藍への愛

明治初めに来日したイギリス人化学者が、町のあちこちに見られる藍色を「ジャパンブルー」と呼んで称賛した藍。

素朴であたたかな紺色は、後にも様々なシーンで日本の色として登場しています。

世界中でも最古の藍は、紀元前3000年頃のインダス文明からと気の遠くなる長い歴史です。

藍と言えば、安土桃山時代から藩の殖産事業となった、徳島の蓼藍思い出される方も多いのではないでしょうか。

その徳島でも戦時中は、食糧増産の為、藍の栽培は禁止作物になりました。

藍は、一年草で毎年種を採り続けないと途絶えてしまう為、憲兵の目を逃れ命がけで、藍の栽培を6年間続けた方が、いらっしゃいました。

徳島で藍の母と呼ばれる岩田ツヤ子(明治39年~平成9年)という勇気ある女性です。

山の林の中で人知れず守られた「白花小上粉(しろばなこじょうこ)」は、今も本藍染め佐藤家で作り続けられています。

岩田さんの石碑は、藍が育てられた場所、美しい緑と澄んだ空の元にひっそりと建っています。

あたたかい木綿に藍染めの絞りは、触るだけでも気持ちがよく、藍の素朴さに心が癒されていくようです。

大切に手をかけ育て、染めた方々の思いが、伝わってくるかのようです。

何を着てみようかな。。と迷ったら、藍をひとつおすすめしたいです。

無地紬縫い一つ紋袷88,000円身丈4尺3寸裄1尺7寸(1尺8すん3分可)

藍絞り名古屋帯66,000円

浦野理一ワークショップ終わりました。

浦野理一ワークショップ終わりました。

23日は、そぼ降る雨を打ち払って、みなさまの期待満々のお顔が集まってきました。
24畳の大広間に、裂を満杯にした段ボールたちと、机には帯の型紙を置いて、先ず好みの裂探しから始まりました。
あれもこれもと、いとしい裂を沢山抱え込んで、始めの1時間は途方にくれます。
それから、小さな型の中に押し込んでは取り替えてを繰り返していきます。
やがてかなりの諦めを乗り越えてお太鼓柄が決まると、続いて垂れ先、前柄、最後に手先が待っています。
ここで、またお太鼓裂をいじったりして、やっとできあがりです。

 

縞、格子、型染め、絣と全てを散りばめて個性を放つ方、千鳥の絣をメインに縞や格子でかわいくまとめる方、紅型や、中型小紋に江戸小紋の色を重ねて優雅に決めていく方、中には紬と縮緬の両方を入れる希望者もいらっしゃいましたが、縮緬がしっかりしているので、それもあり、となりました。

 

こうして3時間は瞬く間に過ぎて行きましたが、みなさま緊張して頑張ったという達成感の面持ちを残して帰っていかれました。
お客さまのお喜びのお顔を拝見したくて、できあがった帯はなるべく銀座店でお渡ししています。
縫製されてみると、その綺麗さに驚かれる方がほとんどです。

ご参加されたみなさま、ありがとうございました。

 

華やかなる纐纈織の帯

秋がぐっと深まってきました。

店頭には、新しい品物がぞくぞくと入荷してます‼︎

ご紹介のコーディネートは、菊柄の付下に纐纈織の袋帯。

 

着物は地紋にも菊の花が織り出され、裾の菊の図柄にはあしらいの刺繍が施されています。

帯は、絞り染めの纐纈の雰囲気を織りで表現した纐纈織の帯です。

布がぷくぷくとふくらんだ部分が、絞りの雰囲気を表現しているように見えます。

 

纐纈(こうけち)とは、夾纈(きょうけち)・﨟纈(ろうけち)とともに三纈と呼ばれる絞り染の一つです。布に一部をつまみ、糸で括ったり、巻き締めたり、縫い締めたりして防染し、浸し染めしたものです。インドで発生し、中央アジアを経て中国、日本へ伝播したとされます。奈良時代の染織品にも多用され、正倉院宝物にも多く見られます。多色の夾纈と﨟纈は平安時代中期以降に一時すたれましたが、纐纈は装飾品や衣服の模様に今も用いられています。

 

菊に流水文様付下    30,000円+税

身丈:4尺(約152㎝)    裄:1尺6寸8分(約63.8㎝)

 

唐華文様纐纈織袋帯  30,000円+税

和更紗の名古屋帯がたくさん入荷しています!

 

気がつくと、クリスマスイルミネーションが、そこかしこに見られる季節にりました。

早いものですね。

季節の移り変わりを、何より店内の商品でしみじみ感じます。

あたたかみのある布が増えてくるこの時期。

今、和更紗が個性を発揮しています。

写真はHPに載っていない商品です。

ぜひご来店のうえ、お手にとってご覧ください。

思えば、クリスマスも更紗も、海の向こうからやってきたお楽しみ。

今こうして、恩恵を受ける事の出来る喜びを、満喫いたしましょう。

和更紗名古屋帯各種   40,000+税〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「浦野の古布を帯にする」番外編・帯を創る愉しみをお迷いのお客様へ

ここまで沢山ある「浦野の古布とその裂で帯をお仕立てするワークショップ」のご紹介をご覧頂きありがとうございます!

布を見ているだけであっという間に時間が過ぎてしまうほど奥の深い世界ですね。

浦野染色工房が、半世紀の時を染め、織りの研究に情熱をそそぎ、身につけた女性、美しく光る着物と帯を世に送り出したいと、心を込め仕事を続けてこられた事がおわかり頂けたかと思います。

浦野の裂で帯を創るWSは、浦野ファンならずとも「本物の浦野の裂を選んで、帯を作る事が出来るのですか?」と皆さまが驚かれる、夢の企画です。

帯を仕立てる手順や説明もいろいろさせて頂きましたが

「自分の帯を作ってみたいけれど、優柔不断だから、布を選ぶ自信が、ない‥」

というお客様の声が多いのも本当です。

お時間もたっぷり3時間ございますし、過去のWSにおいても途中で迷いながらの皆さまもご自分だけの素敵な帯を完成されています。

もし、大丈夫かな‥と思われたら、帯を合わせたいお着物をご持参ください。

迷いがないと思われるお客様も合わせたい着物をお持ち頂くと的が絞れて裂選びが、スムーズになりますので、ご参加の皆さまにお薦めいたします。

「案ずるより産むが易し」で沢山の浦野裂を触って、選んでいるとご自分の感性を刺激する好きな裂が、きっと見つかります。

そこからは、自然に組み合わせが出来上がっていきます!

当日は、お客様のご相談役として灯屋2スタッフも会場にスタンバイしておりますのでどうぞ、ご安心ください。

会期も近くなって参りましたが、この企画も次回いつ、とお約束が出来ません。

まだ若干名、お席の余裕がございますので、お迷いの時にはぜひご参加ください。

銀座店に実際にご覧頂ける浦野裂もありますし、今までお客様が制作された帯の写真集もございますのでどうぞご覧になってください。

では、23日(土)🎌に新宿花園神社向かって右隣の社務所2階にてお待ちしてます。

 

◆◆◆ワークショップお申し込みについて◆◆◆

【開催】
場所:花園神社社務所2階和室(東京都新宿区新宿5-17-3)
日時:11月23日➀10時~ ➁14時~ いずれの回も要予約
費用:100,000円+税(布代、お仕立て代を含む)

【お問合せ】
灯屋2銀座店 AM11時~PM7時 定休日なし
Tel:03-3564-1191
Mail:ginza@akariya2.com

お申込みの際は、お名前、お電話番号、メールアドレス、ご参加希望の時間帯、お支払い方法をお伝えください

【お支払い方法】
当日は現金のみ
前日までに店頭にお越し頂ける方は現金またはクレジットが可能です

ご質問・ご不明点などは灯屋2銀座店までお気軽にお問合せ下さい。

「浦野の古布を帯にする」その13 どうやってつくるの?

「どうやってつくるの?」 一番大切な疑問ですね。

名古屋帯は6通で仕上げます。
お客さまにはお太鼓と垂れ先、前柄と手先の見える部分の型紙をお渡ししますので、そこに入れる布を選んでいただきます。

型紙 左から 垂れ・お太鼓・胴前・手先

こういった中から選んでいただきます

つなぎの布はこちらにお任せ下さい。
6通の胴回りと裏地は、浦野さんの反物ではありませんが、縮緬を浦野色に染めて対応します。
そのお色については、一応ご希望はお聞きしますが、添えられないこともあります。

後は、こちらで縫って帯が仕上がるまで、1〜2ヶ月かかります。

裂は、どの組み合わせも有りですが、紬か、縮緬かはお決めいただくのがいいかもしれません。
裂の大きさは、紬は半巾を20センチ位に切ったものがほとんどです。

縮緬は、それプラス、反物の巾で10センチ、30センチ、50センチ位のがあります。

いずれにしても、布は沢山ありますし、お客さまのお好みも違いますので、慌てる必要はありません。お時間は3時間位の予定です。

最後に、どの着物に合わせようか、と、照準を決めておかれるといいですね。

ワークショップお申し込みについて

【開催】
場所:花園神社社務所2階和室(東京都新宿区新宿5-17-3)
日時:11月23日➀10時~ ➁14時~ いずれの回も要予約
費用:100,000円+税(布代、お仕立て代を含む)

【お問合せ】
灯屋2銀座店 AM11時~PM7時 定休日なし
Tel:03-3564-1191
Mail:ginza@akariya2.com

お申込みの際は、お名前、お電話番号、メールアドレス、ご参加希望の時間帯、お支払い方法をお伝えください

【お支払い方法】
当日は現金のみ
前日までに店頭にお越し頂ける方は現金またはクレジットが可能です

ご質問・ご不明点などは灯屋2銀座店までお気軽にお問合せ下さい。

「浦野の古布を帯にする」その12 お客様作品集

今まで小布の数々をご覧に入れましたが、それではお客さまの作品をご紹介してみます。

以前のワークショップで胸を膨らませて、試行錯誤してお創りになった、ただ一本の私の帯です。この時は、紬だけを提供させていただきました。

みなさま始めは大興奮で、いっぱい布を集めていましたが、しばらく触っているうちに方向が見えてきまして、ご自分の個性に合わせて、またお召しになるお着物を想像して、だんだんまとまって行きました。

そして最後にお選びになった裂は本当に様々で、さすがに、と感心したり、あっと驚かされたり、こちら側も楽しませていただきました。

又、後で帯ができあがり、受け取りにお見えになる方みなさまが、その美しさにパッとお顔が輝きました。今日はそのうちの何点かをご覧ください。

 

次回はみなさま?のどうやって進めていくのか、についてです。

「浦野の古布を帯にする」その11 江戸小紋の魅力

最後に一番大切な布を忘れていました。

確かに主張の少ない染めですがその歴史は古く、柄付けからも、色もようからも、固有名詞が付けられています。

武士の裃から出発したので、その柄はごく小さく、格調高いものを本来の姿としていましたが時代も進むと人気がでて、武家の品位、町人女子の粋、男子には伊達、と様々に使い分けられてきました。

 

浦野さんは、友禅を「動」の染色とすれば、小紋は「静」の染色と位置付けています。

植物染料ではありませんが、虹よりも深く、多彩な江戸小紋をご堪能いただきたいです。

優美で優しい紅型や、ハツラツとしてリズミカルな唐草や多色の型染めなどのオブザーバーとしての役割を担っています。

 

お客様の作品は次回をお待ち下さい。

 

ワークショップお申し込みについて

【開催】
場所:花園神社社務所2階和室(東京都新宿区新宿5-17-3)
日時:11月23日➀10時~ ➁14時~ いずれの回も要予約
費用:100,000円+税(布代、お仕立て代を含む)

【お問合せ】
灯屋2銀座店 AM11時~PM7時 定休日なし
Tel:03-3564-1191
Mail:ginza@akariya2.com

お申込みの際は、お名前、お電話番号、メールアドレス、ご参加希望の時間帯、お支払い方法をお伝えください

【お支払い方法】
当日は現金のみ
前日までに店頭にお越し頂ける方は現金またはクレジットが可能です

ご質問・ご不明点などは灯屋2銀座店までお気軽にお問合せ下さい。

「浦野の古布を帯にする」その10 千鳥とツバメたち

数いる野鳥の中でも、我々人類の愛すべきは千鳥とツバメ。

特に千鳥は、古くは万葉集に読まれ、謡曲に謡われてきました。

その鳴き声や歩き方はとてもおもしろくて、いっぱい群れて飛んでいる所から千の鳥となったそうです。
じゃあどんな姿で、どんな風に歩くのか、千の鳥がどこに群れているのか、不思議なことに案外イメージできていませんよね。

カモメに比べて数が減っちゃったのでしょうか。
でも、ここに、浦野さんは、たくさんの千鳥を型染めで残しています。
波千鳥という固有名詞があるほどに、波に遊ぶ千鳥のかわいい様子をご覧ください。

又、ツバメは逆にその姿を知らない日本人はいない程に、近年まで、軒下の人気者でした。
その飛翔する姿は本当に絵になります。
しかしあのシャープな線は型染めでは少し出しにくいのかもしれません。
したがってこの4枚は貴重な作品です。

 

 

このように命あるものを入れることによって動きが出て、ストーリーが生まれてきますので、ぜひこれらを帯作りの中に入れてあげることをお勧めします。

次回からは、過去に作られたお客さまの作品をご紹介していきます。

「浦野の布を帯にする」その9 蝶々と流水

浦野作品のモチーフ    蝶々と流水

浦野理一さんは、初期の頃から染織の研究に非常に熱心に取り組んでいたようです。
それは、著書や、残された古い縞帳や江戸期の染織品、型染めの型紙や絣の古布などを拝見するとあきらかです。
又、範雄さんのおっしゃるには、染織に関しては、一途に頑固で、右から左まで全てを納得しないと先に進まない所があったようです。
そんなわけで、型染めのモチーフにもとことんこだわっています。

浦野さんの小紋といえば、蝶々や唐草、流水に千鳥、大輪の椿や菊、牡丹、かわいい小花の数々、かと思うととんでもない抽象柄まで揃っています。

その中で今回は、蝶々と流水をご紹介します。
浦野さんの蝶々は、蛹から蝶へと大変身を遂げる大きな生命力と、ダイナミックな個性に溢れています。

Processed with MOLDIV

流水の柄は、どこかコミックで、リアルではないのに、本当にせせらぎの音が聞こえてきそうです。

Processed with MOLDIV

次回は千鳥とツバメ文様 です。