スタッフの休日」カテゴリーアーカイブ

木屋ゴールドの裁ちバサミで龍郷締機の糸を切る

実は今、奄美にいます。全国高等学校総合文化祭の郷土芸能部門で太鼓芸能部全国大会の追っかけを、ふとしたことからやっています。
所がこの台風で、小さな島が大きなことに巻き込まれて大変なことになってしまいました。
2000人の人たちが右往左往していますが、でも、島の人たちの温かいおもてなしを、大勢の人たちが味わっていると思います。

所でもう一つの理由は奄美の大島紬です。絣糸を作る締機をこの目で見て確認したかったのです。龍郷の町は、静かで落ち着いた緑のなかにありました。そこで、本場奄美大島紬技術専門学院を訪ねてみました。


どこの何者かを名乗る前から、100%の信頼の情で接してくださいまして、まず伝統の持つ美しさに気付かされました。伊勢先生という温厚な方がこちらの質問に答えると、東さんという方が、前ですぐに作業を見せてくれる、という応対をしていただきました。

東さんはまだ入って1年に満たないというのに繊細な手付きで糸や機を扱っていましたが、ふと目の前にゴールドの裁ちバサミが目にはいりました。と同時に先生が、彼はこれを上手に扱うんですよ、とおっしゃる。ああ、このハサミの場があった、そして彼に似あってる。この先生にしてこのお弟子あり、東さんの行く末が楽しみです。締機は、量産のために考案されましたが、依頼、絣の技術も格段に進化して、紬糸から生糸に変わることによって、より緻密に繊細になっていきました。

昭和の中期に入って宮古上布にもこの技術が入って琉球の染織が最盛期を迎えることになります。

やれやれ無事に戻ってまいりました。さあ、仕事!
渋谷

音の環  vol.002 チェロ、ピアノコンサートのお知らせ✨

2022年3月9日( 水)

ルーテル市ヶ谷ホール   開場 18:30分 開演 19時  前売 4,000円 当日 4,500円

〜プログラム〜

チェロとピアノのための音絵巻「源氏物語」

チェロ.  ソナタ第2番「径」

無伴奏チェロのための 「蓬莱橋」

ピアノ独奏曲「3つのポエム」

コンサートへのご希望がございましたら、お電話、メールにてお問合せください。

当日は、店主渋谷、銀座店白井もコンサートに伺います。

 

花緒のプチワークショップへのご参加、誠にありがとうございます。

店内が混み合う時には、入口でお待ち頂く場合が、ございます事をご了承ください。

灯屋2銀座店は、しばらくの間、営業時間を11:00~18:00とさせていただきます。

定休日は、毎週水曜日です。

スタッフ一同、皆さまのご来店、通信販売でのご注文、お問合せ心よりお待ち申し上げます。

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灯屋2銀座店

営業時間 AM11:00~PM18:00(水曜日定休)

東京都中央区銀座2-6-5 アサコ銀座ビル2F

TEL/FAX 03-3564-1191

URL https://www.akariya2.com

Mail ginza@akariya2.com

 

新井薬師の蚤の市に行ってきました

 

新井薬師の蚤の市に、白井と一緒に行ってきました。

実は、お目当てがあり、ずいぶん久しぶりに、朝日が差し込む中を出かけていきました。

まだ,名残雪の残る朝7時の境内は、業者もちらほら、中で1カ所、異様な雰囲気の中、若者に囲まれて、お目当ての桑村さんがいました。

7人衆は、なんと、薄っぺらな敷物の上に正座をしているのです。

そして、桑村さんが段ボールからおもむろに取り出す1枚の裂に、吸い付くように目をやるのです。

それから,その裂についてのレクチャーが始まり、終わる頃には、買い手が名乗りを上げると言う次第なのです。

取り出す裂は、和洋の更紗から東西の織物、民芸の装束から着物まで、裂と名のつく物なら何でも出てきます。

又、そのレクチャーたるものや、見識の幅は広く、奥行きは深く、さすがに40年を越すフィールドワークのキャリアの賜物なのでしょう。

かく言う私が、1981年に連れ合いと灯屋を始めた頃、桑村さんは、お客を装って目玉商品を買い占めていました。そして他店に高く売っていたのです。

「おいハムや、俺が売りに来る店になれよ」が口癖でしたが、やがてその意味もわかってきました。

そうやって我々を育ててくれたのです。

実は 今、桑村さんはご病気で、最後の仕事だと、頑張って名古屋から上京してらした次第です。

長年にわたる名レクチャーも裂好きの間では有名で、卒業生もいっぱいいます。

次回の蚤の市は、2月6日(日)ですが、それまでお元気でいられるよう、そして上京されたらまた行こうと思っています。

渋谷

 

 

本年もどうぞよろしくお願いします。

あけましておめでとうございます。

新潟の古民家からご挨拶させて頂きます。

ふとしたご縁で、村上の山の麓に田舎家を持ち、時々帰って?リフレッシュしていますが、このお正月もこちらで迎えました。美しい雪景色の風情は、その降り具合と共に刻々変わって行き、ストーブに薪をくべながら、ただボーと飽きずに眺めています。

そしてとりとめのない想いを巡らせながら、時に、銀座店から入ってくる楽しいニュースに嬉々としております。

昨日の、着飾ってお集まり頂いた、大勢のお客様にはびっくりさせられました。

銀座のオアシスとなりたい、という初心の願いに一歩近づいているのだとしたら嬉しいです。

又、こちらの知人の助けを借りて、餅花というお飾りも作ってみました。ピンクの枝を持つミズノキに、おもちを貼り付けて、今年の豊穣を祈ったと言われています。

枝は通常上に向かうようですが、下に垂れさせてオリジナリティとしてみました。

ここでは、みなさまの一年のご健康をお祈りさせていただきました。

本年もどうぞよろしくお願いします。スタッフ共々心を込めてお迎えしてまいります。

渋谷

 

里山の春

里山の春を竹籠に生けました。

灯屋本店では、昨年度より「藍花展」を重ねてきましたが、この度、新潟県村上に出向いて、雪解けの野辺の花を生け、一年の締めとしました。

半月前までは、雪景色だったそうですが、梅の便りを待って、花人の加治さんとカメラマンとを伴って連れ合いと出かけました。

山頂の小さな畑にある1本の梅の木、花の精が、宿っているかのように、それはそれは美しいのです。

枝を大きく四方に張って、天高く槍梅が伸びて、可憐な一重の花が桜のように咲き乱れています。それを籠に摘入れて、ふきのとうとつくしが笑えるほどにたくさん顔を出している山道を、今度は、春の山野草を摘みながら帰ってきました。

 

そして、古民家の、書院窓から庭の光が差し込む一間床の間に飯塚琅玕斎の竹籠に生け込みました。

そこには白い花がテーマの早春が、たちまちできあがっていき、芳しい梅の香りに酔いしれたひとときでした。

 

 

「壽新春大歌舞伎」

「壽新春大歌舞伎」先日のお休みに、新橋演舞場に「新春歌舞伎」を観に行ってきました。
一月の見どころは、三代目市川右團次襲名披露と息子の二代目市川右近(6歳)の初舞台です。

「壽新春大歌舞伎」昼の部の「雙生隅田川(ふたごすみだがわ」の通し狂言では、市川右近(なんと6歳!)の独り二役の「早変わり」や「宙乗り」「立ち廻り」など初舞台とは思えない演技に驚嘆しました。

通し狂言の演目の面白さもあり、あっという間の4時間で、久しぶりにすばらしいエンターテイメントを見た思いでした。
千秋楽は27日(金)ですので、お時間のある方は是非楽しまれて下さい。

田中

「俺たちの国芳 わたしの国貞」展

先日、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されているボストン美術館所蔵・浮世絵展「俺たちの国芳、わたしの国貞」を観てきました。
幕末に絶大な人気を博した二人の天才浮世絵師、歌川国芳と歌川国貞の選りすぐりの作品はまさに江戸の世界を体感できます。
二人は兄弟弟子でありながら作風は対照的で、国芳は豪快な武者絵を得意とし、一方国貞は粋な美人画で一世を風靡しました。
二人が描いた活き活きとした人物達にも目を奪われますが、この頃最盛期を向かえた多色刷りの錦絵の美しさにも魅了されます。
当時西洋から輸入された「べロ藍」(プルシャンブルー)の濃淡とほんの少しの紅などで表現された作品は、さぞや当時の人の心を掴んだことでしょう。
また、歌舞伎役者やヒーロー達の趣向を凝らした着物の柄を見るのも楽しみの一つです。

ボストン美術館は浮世絵コレクションで有名ですが、1876年のボストン美術館開館以来初の、大規模な歌川国芳・歌川国貞展なります。
展示された作品は一度貸し出されると5年間は公開されなくなるため、今回の展示会が大変貴重な機会とのことです。

ボストン美術館所蔵
「俺たちの国芳 わたしの国貞」
Bunkamuraザ・ミュージアム 2016 3月19日(土)~6月5日(日)

「俺たちの国芳 わたしの国貞」展ホームページ

雪晒し

雪晒し「古い上布を雪晒しに出してみたら、真っ白になって帰ってきたの!」と、驚き喜ぶ店主の話を聞いたのは、2年か3年ほど前でした。
「雪に布を晒して自然の力で漂白する」
言葉ではわかっていましたが、実際に反物を出して、仕上がり具合の実感を得た話を直に聞くと、普段都会で生活していると忘れがちな自然の力の底知れなさに、不思議な感動を覚えたのを思い出します。

この3月、そんな神秘の雪晒しの現場を皆で見に行こうと、灯屋2の越後上布を三反抱え、新潟へ行かせて頂くことが叶いました。
ほぼ一日かけて、中田屋織物の社長で伝統工芸士の中島清志氏とそのご家族に案内していただいた今回は、雪晒しの他に、一番重要とされる苧績み(おうみ)と呼ばれる手績みの糸づくり、そしてそれをいざり機で織る姿を拝見させていただき、最後は時間の許す限り店主から中島さんへの質問攻め…という行程で締めくくりました。

暖冬は新潟も例外ではなく、いつもはまだ白いという山も、低い部分は茶色い肌を見せていました。
持ちこんだ反物をお湯でもんで、水に色がつかなくなるまで汚れを落とした後、車で向かった雪山。
山の平らに、雪晒しのための真っ白い世界がありました。

雪晒し

雪晒しは2月から3月の雪解けの頃の作業で、化学的に説明すると、雪から蒸発した水分に強い紫外線が当ることでオゾンが発生し、このオゾンの酸化作用で生地が漂白されるそうです。
そしてこの作業は布の汚れが落ちるまで、何日かかけて行うとのことでした。
この作用は、植物繊維だけに効果を発し、絹などの動物繊維には適用できないそうです。

白の眩しさに目を細めながら、スタッフも皆でお手伝いさせてもらって、布の両端を持ち、雪の上に置いていきました。
置かれた布は、日をうけて発光するようにきらめく雪の上で、みるみる力を取り戻していくように、雪とともに輝きはじめていました。
その美しさを見ているだけで、私自身も、背中の重さがすっと抜けて、身体が軽くなるような気持ちの良さに満たされていきます。

雪晒しのために越後に戻ってきた布たちは、「里帰り」というそうです。
生まれた場所に戻って英気を養い、また、きものとしてお勤めするため奉公に送り出す。

そんな呼び方で布の世話をしている、と、最初に湯で上布を足踏みでもみながら、中島さんが話して下さいました。
実際に、雪に晒した布がぐんぐんエネルギーを吸収して糸に生気をみなぎらせていく様子を見た後は、まさにその通りの言葉だと思いました。

家計の貴重な現金収入であり、地元の人々はほぼ着ることはなかったという越後上布。

長い長い手間をかけて作りあげた布が里帰りをして、充分に休息させてまた送りだす雪晒しという作業は、職人さん達にとっても、尊く嬉しいことなのではないでしょうか。
丁寧に、時間をかけて案内して下さった、雪山の清い雰囲気を纏った中島さんご一家に、心から感謝を申し上げます。

松田

日本民芸館 「芹沢銈介展」

日本民芸館先日、日本民芸館で開催されている「生誕120年記念 芹沢銈介展」を観に行きました。
日本民芸館は井の頭線の駒場東大前駅の、緑豊かな閑静な住宅街にあります。
建物も和風意匠を基調としながらも随所に洋風をとりいれた美しい建物で、設計に関わった柳宗悦の美意識が垣間見えます。
通りを挟んで栃木から移築した旧柳宗悦邸があります。

今回の展示は、生誕120年を迎える染織家・芹沢銈介の初期から晩年までの作品が展示され、彼の創造の世界を紹介するもの。
芹沢の布を中心とした作品と生涯で収集した工芸品などが展示されています。
芹沢は静岡の呉服卸商の家に生まれ、作家活動の中で民芸運動をけん引した柳宗悦に影響を受け、手仕事で作られた何気ない日用品の持つ美しさに惹かれていきます。
また、沖縄伝統の紅型に出会い強い感動を受け、型染を生涯の仕事と志します。
展示された作品は文字や何気ない日常のモノがオリジナリティ豊かに、美しく表現されています。
それは芹沢のモノの美しさを的確に捉える鋭いまなざしから生まれているのでしょう。
こんな時期なので、デザインの本質やオリジナリティってなんだうと考えさせられる展示会でした。
彼の収集した古い紅型の布や外国布も美しく、彼のモノに対する愛情を感じずにはいられません。

「ル・ソール」展示が変わる度に民芸館を訪れますが、もうひとつの楽しみがあります。
駒場東大前の駅と民芸館の間に「ル・ソール」というおいしいパン屋さんがあります。
何をたべても絶品ですが特にバンド・ショコラがおいしい。
まわりのクロワッサン生地がさくさく。
できれば買ってすぐ歩きながらでも食べたい…味です。

生誕120年記念 芹沢銈介展
生誕120年記念 芹沢銈介展
会期:2015年9月1日(火)~11月23日(月・祝)

田中

愛らしい猫達、猪熊弦一郎現代美術館

愛らしい猫達、猪熊弦一郎現代美術館秋になったとはいえ、まだ蝉の声も聞こえます。

お彼岸までは夏の名残を感じて、ふらり遠出の猪熊弦一郎現代美術館の猫達展を見に行ってみるなんていかがでしょう。
少年時代から様々な物に興味を持ち、画家になろうか発明家になろうかと迷ったという、明治35年生まれの猪熊弦一郎。

70年に及ぶ画業のなかで、画風を何度か変えていますが、具象から抽象表現への過渡期ともいえる1940年代後半から1950年代前半にかけて、猫をモチーフに多くの作品をあらわしています。
戦時中も、二匹の猫をつれて疎開するほどで、沢山の猫との暮らしの中で描かれた猫達の様子。
今回出品作の猫たちは、900匹を超えているそうです!

猪熊弦一郎といえば、ひとつ前の三越デパートの包装紙「華ひらく」の抽象的でモダンなイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、その一方、小説新潮の表紙を何回も大病をしながら40年間1度も穴を開けず、ご自分でもよく続けてこられたと不思議になるとおっしゃられてますが、不屈の真面目さというか、正直さは、讃岐の方なのだなぁという印象です。

「美は私たちの周りのなにげないところにも静かに存在しています。それに気づくかどうかということが問題なのでしょう。美は実体のあるものだけとは、限りません。」この言葉が大好きで、故郷へ帰ると楽しみにここへ訪れます。

私の実家の目の前にあるこの猪熊弦一郎美術館は、ゆっくりご覧になれるのもおすすめポイント☆

なんと今回は、フラッシュなしなら作品撮影可の楽しみもあります♪
美味しい手打ちうどんも楽しめる香川・丸亀駅徒歩1分の猪熊弦一郎現代美術館
詩的でユーモア溢れる椅子マルティーノ・ガンパー100日で100脚の椅子展も開催中です!

機会があれば、ぜひお出かけ下さい。

猪熊弦一郎現代美術館
香川県丸亀市浜町80-1 
Tel:0877-24-7755
http://www.mimoca.org/ja/

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白井