アトリエ便り」カテゴリーアーカイブ

アトリエより年末のご挨拶

インドの布たち

2017年の銀座店の営業は、昨日を持ちまして終了いたしました。
みなさまのご声援を頂いて、最後まで走ってしまった1年でした。

1年間いろいろな商品を皆様にご覧頂きましたが、インドに出かけて仕入れてきた布たちが、まだ出番を待っています。

ウールのカシミール羽織は何点か年末に店頭に並びましたが、美しいベナレスシルクや、カンタワーク、ブロックプリントのサリーは年明けとともに、作業にかかる予定。

インドの布たちそれらが着物や帯となって、皆様にお目にかかるのは、1月末頃かと。
ご期待にお答えできるものと、今からワクワクしております。

お正月の銀座店では、その前にも楽しい企画をして、皆様をお待ちしていますので、ぜひお立ち寄りください。

今年1年のご愛顧ありがとうございました。
新年もどうぞよろしくお願いいたします。

灯屋2アトリエスタッフ一同

灯屋2で社員研修の為、臨時でお休みをいただいている事があります。
その時は、染色や織り物の工房へお願いして、お話を聞きに伺い、見学させていただいております。
実際に拝見すると工程もよくわかり、お客様へお伝えする事も出来きる有難い体験。
臨時休業の際、ご来店下さったらと申し訳ない気持ちにもなりますが、スタッフとしては毎回楽しみにしているのも正直な気持ちです。
どうぞ、ご了承ください。

今回、江戸川区にある松原染色工房にお邪魔させていただきました。
松原工房は、大正13年より続く、長板中形の染色工房で昭和30年に、故・松原定吉氏が、国の重要無形文化財指定を受け、ご子息である福与、八光さん、現在も、与七さんを中心として続く長板中形の伝統ある工房です。

長板中形は、三間半(約6.4メートル)の長い貼り板に木綿生地を貼り、型紙を送りつなぎ、防染糊で型付けして、本藍につけ染めることにより出来上がる日本の伝統染織工芸のひとつです。
もちろん、この緻密な手仕事には、長年の経験と技術が裏付けされている事は言うまでもありません。
写真は、

型紙拝見

 

貼り板の上に柿渋で手彫りされた型紙をおく作業を
スタッフ全員が覗きこんでいるところ

伝統の美しさを生み出す数々の道具藍の入った壺

 

大切な道具類、驚くべきたくさんの藍壺
(木の蓋をしてあるのも全部、藍の壺です!)

染めあがった布は空気に触れることで…緑から藍色に

 

実際に藍に白生地をつけて染め上がった布がまさしく碧から藍色に変化して行く様子など…
(藍は、空気にふれる事により、神秘的に変化してゆきます)

それにしても、美しい長板中型染です。

その美しさにはいくつかの要因がかくれていますが、藍の美しさはもちろんの事、民芸運動・柳宗悦氏の「手仕事こそ、品物に美しい性質を与える原因・心の仕事」という言葉が、しっくりくるような感じがします。

長板中形は、主に浴衣に用いられてきましたので、浴衣のあり方が変わってきた現在、昔のような需要はなくなりましたが、灯屋2では小紋や付下、訪問着など、松原工房作のお着物のお取り扱いございます。
ぜひ、ごらんください。
 
松原工房作の絹紅梅の中形染先日もお客様が、当店でお買上の松原工房作の絹紅梅の中形染をお召しになってご来店くださいましたので、お写真を撮らせていただきました。

ありがとうございました!

白井

韓国のポジャギ

ポジャギ一枚の布にしたポジャギです。
ポジャギは韓国の言葉で包む布の固有名詞。
日本の風呂しきのようなものですがその用途は最も多く包むだけでなく、運ぶ、飾る等日常生活に欠かせない必須品でした。

ポジャギの材料は麻、木綿、絹が主で服、布団等に使わった残布や古くなった布の再活用に使用されました。

今回のポジャギは麻で作られて繋ぎの形、細かさを見て古くなった残布を再活用したものではないかと思います。
何日もしくは数ヶ月、数年集めた小さい布を一針、一針を表と裏、どちらでも縫い代が同じ特独な繋ぎ方で一枚の絵のような布になっています。

子供の時、外から家に戻ると、台所には蒸した芋の上に小さいポジャギが被ってました。
真夏日風通しと虫除けの為だと思いますが、飾り気ない台所を一時美しい空間にしようとしたおばあちゃんの気持ちかも知れません。
一時代の前の韓国の母親達は、物と時間を大切にしながら地道な作業を愉しんだのだと思います。

明後日30日からの展示会でポジャギの帯を展示します。
素朴な麻、透ける絹のポジャギが創る美しい造形美を楽しんでください。

アトリエ 森

アトリエより 「雪さらし」

「雪さらし」三月も半ばを過ました。
灯屋2代々木店では、卒業式シーズンもピークを迎え、連日袴姿のお嬢様達の笑顔が眩しく輝いております。
その一方でアトリエでは、単着物の用意も着々と進行しています。
お客様を思い浮かべながら、一枚また一枚と仕立て上げていくのは、スタッフ一同の喜びです。
常に新鮮な布との出会い感動を、お伝えしたいと思います。

先日、越後上布の故郷である新潟県魚沼市より、「雪さらし」をお願いしていた反物が戻ってきました。
「雪さらし」とは、雪上に広げた布が太陽の紫外線を浴びると、溶けた雪のオゾン効果によって漂白されるものです。
白い雪原に整然と反物が並べられた光景は、雪国の風物詩としても知られています。

自然の力を利用した伝統的な手法の出来を、楽しみにしていた私達です。
美しく蘇った麻の上布を見て、感嘆の声があがりました。
綺麗になっただけでなく、雪の香りが漂ってくるように、しっとりと冷たく柔らかい感触。
麻とは思えないほど、しなやかでなめらかです。

そのわけを、「雪さらし」をお願いした魚沼市の古藤政雄さんに、電話でお聞きしました。
水分を程よく残し、麻の繊維を知り尽くした、産地ならではの仕上げ方法とのことです。
自然の豊かさと人間の知恵、丁寧な手作業の素晴らしさ。
アトリエの布は、故郷で雪の上で大きく伸びをするように疲れを癒し、手入れされることで本来の魅力を倍増させました。

盛夏の装いは、真冬の作業で支えられていることもよくわかりました。
四季の恵みはありがたいです。
皆様もこれから上布に袖を通した時に、「雪」を感じて下さいね。

海老沢

お世話になった皆さまへ

お世話になった皆さまへ灯屋2にお世話になってから、11年という月日が流れてしまったこと自分でも驚きを感じます。

これからは、自分の仕立てのお仕事を充実させると共に、今までしたかった勉強(?)もしなくてはと思っています。

こちらにお世話になってから、ほかの仕立物では味わえない様な驚きと発見をさせていただいた事は私にとって宝物となりました。

アトリエ勤務にとどまらず、銀座店でお客様とお話させていただき、皆様とご一緒のお時間を過ごせた事も本当に楽しく素晴らしい思い出です。

振り返ると、色々な事が思い返され、あれもこれも楽しかったと思いは果てしなく続きます。

「物が言葉を言ったなら。」

灯屋2店主、渋谷公子のご主人であり灯屋オーナーの渋谷新三郎氏から昔聞いたお話です。

「物は言葉を言わないけれど、言葉を発したらなんていうんだろうね。」

私を含め、物を作る者には必ず道具が必要です。

その『物』たちは、使い手である『者』たちをどう思っているのか。

「良い仕事をしているね。」とは言われなくても「頑張ってるね。」くらいは言ってもらえるでしょうか。

共に働いたスタッフ、納期を急かしては引き受けてくれた外注の方々、そして私が使っていた道具にも感謝して最後は笑顔でお別れしたいと思います。

泣いて笑って過ごした日々も、もう残りわずかです。

良い出会いは人生を素晴らしいものに変えてくれます。

そしてこれからもそのような出会いが、私にも皆様にも1つでも多く訪れます様に。

皆様どうぞお元気で、そしていつかどこかでお会いできたら嬉しく思います。

気が向いた時に私のHPも覗いてくださると嬉しいです。

最後は宣伝ですみません(笑)

『仕立屋 凛』

2013年12月 栁 裕子

金木犀の香り

金木犀の香りこの季節は、ドアや窓を開け放って仕事をするのが心地良く、アトリエには爽やかな風が吹き抜けていきます。
その風に乗り、匂い立つ金木犀の香り。
代々木店のビルの脇には大きな金木犀の木があり、この季節になるとアトリエは金木犀の香りで満たされます。
仕事をしている間はこの香りで心も満たされ、何とも言えず贅沢な気持ちになります。
 
この小さな花弁が集まったオレンジ色の小花は凄いパワー。
町を歩いていると、姿は見えなくてもこの香りで金木犀が近くにあることを教えてくれます。

金木犀が終われば、いちょう並木の紅葉が更に深まっていることでしょう。

アトリエ 柳

お彼岸が来る

お彼岸が来る日々の仕事に追われて時間の時間の流れを忘れているこの頃、はっと気が付き、坪庭とは名ばかりの店の前の小さな日の当たらない土の塊に目をやると、あぁ、今年も彼岸花の季節がやってきたなぁと気付きます。
10年目にどこやらの野っぱらから移植して後、毎年1週間の、私にとっては亡き母とのほろ苦い逢瀬に。

仏式ではない我が家にはお盆の法事がなく、ましてや寄る辺なき我が宗教心ではこの時期行き場がないのである。
今年もここに咲いた、この愛しい花に一年の報告をして、又次の一年をやっていこうとしている。

渋谷

秋展へ向けて

秋展へ向けて日に日に秋の気配が漂う今日この頃。
吹く風はもうすっかり秋風ですね。

さて、アトリエでは10月3日からの灯屋2秋展へのラストスパートが始まっています。
これから外注さんに出す仕立て物は、生地から衣服として生まれ変わる旅に出すような、そんな気持ちで送り出しています。

今回は糸味の良い結城紬も新しくお仕立て物として店頭に並びますので、既に結城紬をお持ちの方も是非お手にとってご覧になってください。
何度も水をくぐって柔らかくなった結城紬は人間で言うと“角が取れて丸くなったおばあさん”といったところでしょうか。
手に取ると何とも言えず柔らかく、それが着物となって穏やかに優しく包み込んでくれることでしょう。

もちろん結城紬だけではなく、灯屋らしい個性溢れる着物達が並びます。
どうぞ、楽しみにお待ちください。

アトリエ 柳