アトリエ便り」カテゴリーアーカイブ

お世話になった皆さまへ

お世話になった皆さまへ灯屋2にお世話になってから、11年という月日が流れてしまったこと自分でも驚きを感じます。

これからは、自分の仕立てのお仕事を充実させると共に、今までしたかった勉強(?)もしなくてはと思っています。

こちらにお世話になってから、ほかの仕立物では味わえない様な驚きと発見をさせていただいた事は私にとって宝物となりました。

アトリエ勤務にとどまらず、銀座店でお客様とお話させていただき、皆様とご一緒のお時間を過ごせた事も本当に楽しく素晴らしい思い出です。

振り返ると、色々な事が思い返され、あれもこれも楽しかったと思いは果てしなく続きます。

「物が言葉を言ったなら。」

灯屋2店主、渋谷公子のご主人であり灯屋オーナーの渋谷新三郎氏から昔聞いたお話です。

「物は言葉を言わないけれど、言葉を発したらなんていうんだろうね。」

私を含め、物を作る者には必ず道具が必要です。

その『物』たちは、使い手である『者』たちをどう思っているのか。

「良い仕事をしているね。」とは言われなくても「頑張ってるね。」くらいは言ってもらえるでしょうか。

共に働いたスタッフ、納期を急かしては引き受けてくれた外注の方々、そして私が使っていた道具にも感謝して最後は笑顔でお別れしたいと思います。

泣いて笑って過ごした日々も、もう残りわずかです。

良い出会いは人生を素晴らしいものに変えてくれます。

そしてこれからもそのような出会いが、私にも皆様にも1つでも多く訪れます様に。

皆様どうぞお元気で、そしていつかどこかでお会いできたら嬉しく思います。

気が向いた時に私のHPも覗いてくださると嬉しいです。

最後は宣伝ですみません(笑)

『仕立屋 凛』

2013年12月 栁 裕子

金木犀の香り

金木犀の香りこの季節は、ドアや窓を開け放って仕事をするのが心地良く、アトリエには爽やかな風が吹き抜けていきます。
その風に乗り、匂い立つ金木犀の香り。
代々木店のビルの脇には大きな金木犀の木があり、この季節になるとアトリエは金木犀の香りで満たされます。
仕事をしている間はこの香りで心も満たされ、何とも言えず贅沢な気持ちになります。
 
この小さな花弁が集まったオレンジ色の小花は凄いパワー。
町を歩いていると、姿は見えなくてもこの香りで金木犀が近くにあることを教えてくれます。

金木犀が終われば、いちょう並木の紅葉が更に深まっていることでしょう。

アトリエ 柳

お彼岸が来る

お彼岸が来る日々の仕事に追われて時間の時間の流れを忘れているこの頃、はっと気が付き、坪庭とは名ばかりの店の前の小さな日の当たらない土の塊に目をやると、あぁ、今年も彼岸花の季節がやってきたなぁと気付きます。
10年目にどこやらの野っぱらから移植して後、毎年1週間の、私にとっては亡き母とのほろ苦い逢瀬に。

仏式ではない我が家にはお盆の法事がなく、ましてや寄る辺なき我が宗教心ではこの時期行き場がないのである。
今年もここに咲いた、この愛しい花に一年の報告をして、又次の一年をやっていこうとしている。

渋谷

秋展へ向けて

秋展へ向けて日に日に秋の気配が漂う今日この頃。
吹く風はもうすっかり秋風ですね。

さて、アトリエでは10月3日からの灯屋2秋展へのラストスパートが始まっています。
これから外注さんに出す仕立て物は、生地から衣服として生まれ変わる旅に出すような、そんな気持ちで送り出しています。

今回は糸味の良い結城紬も新しくお仕立て物として店頭に並びますので、既に結城紬をお持ちの方も是非お手にとってご覧になってください。
何度も水をくぐって柔らかくなった結城紬は人間で言うと“角が取れて丸くなったおばあさん”といったところでしょうか。
手に取ると何とも言えず柔らかく、それが着物となって穏やかに優しく包み込んでくれることでしょう。

もちろん結城紬だけではなく、灯屋らしい個性溢れる着物達が並びます。
どうぞ、楽しみにお待ちください。

アトリエ 柳