志村ふくみ作 冬青(そよご)
仮絵羽
志村19-9-04
お仕立て付き
ご売約済
風に戦(そよ)いで葉が特徴的な音を立てる様がそよごの由来とされています。
又、常緑樹で冬も青々としている所から冬青と書かれています。
初夏に白くかわいい花が咲き、赤い実を付けます。その可憐な姿が庭師に選ばれて、かつて代々木の店先に植えられていたことを思い出しました。
今、この作品を見て、あの葉っぱは十字絣に、赤い実はピンクのドットに昇華されたことに納得しました。
しかしこの愛らしいピンクに、心奪われない人はいません。そして志村さんの十字には、いつも天空の光を見たり、音を聞いたりしてしまうのです。
小さな格子柄でありながら、タテ糸がわずかに控えているのにも、精緻でみずみずしい感性が感じられます。
志村ふくみ作 紅芙蓉
仮絵羽
志村19-9-05
お仕立て上がり
ご売約済
芙蓉の花は、この季節、初秋になると、少し庭のあるお家では、わが世の春を謳歌しています。
特に紅芙蓉はその花の色を誇りに、まさに女王さまの様な存在です。
あの色を、志村さんは、思い切りの良い紅花の真紅に、紫根を入れて巧みに表現しています。
なるほど、あの夏の日差しにも負けない艶やかさが浮かんできます。
しかし実は、少しの風のそよぎにもはらりと落ちる花びらの本性も、風情として、美しい暈しで表現しています。
薄紫や亜麻色の濃淡のヨコ糸を巧みに織り込んで、ここに紅芙蓉は完成しています。
志村さんの観察眼に、改めて敬服です。
多当紙がつきます。
志村ふくみ作 律
志村19-9-06
お仕立て上がり
身丈:4尺1寸5分(約157.7cm)
裄:1尺7寸5分(約66.5cm)
ご売約済
「律」とは?全ての物事の基本となるおきてという意味のようです。
自然界を律する約束事。それを極めようとして臨んだ作品の様に理解しました。
それはまず、この作品から、染織という手仕事の持つ根幹的な質実な性格が見てとれます。
豊かで落ち着きのある絶妙な色彩感覚、基本である格子柄を中心として、しかも個性あふれる絵羽に仕上げている現代感覚。
ヨコ糸を節紬にしている所からくる、民芸調の温かみある、みずみずしい活力。
なんだか、志村さんがここに居るというオーラを放ったお召しもののようで、持ち主になられた方の着姿に思いを馳せます。
志村ふくみ作 十字絣単衣 仮絵羽
ご売約済
着物19-5-32
鑑定書付
藍の濃淡の中に雨絣が走り、その上に白十字がポッカリと浮いています。
十字の縦の絣足は、明かるい藍に繋がれて次の十字へと導かれています。
何か、キリストが負った十字架のイメージを宿した、聖なる光が、横に流れる黄色の線から感じ取れる気がして来ます。
この織物は、単衣用として制作されたようで、少し薄手に作られていますので、素材感がデザインとコラボして、シンプルで明晰な春のお着物となっています。
鑑定書がございます。
志村ふくみ作 「クレーの秋」仮絵羽
ご売約済
着物19-5-33
鑑定書付
クレーの秋、と、象徴的な命名をされています。
志村さんは、昭和の終わり頃、ヨーロッパへお出かけになっているので、その後の作品かと思われます。
クレーの絵は、詩的、思索的、音楽的と言われていますが、色の重なり具合や格子縞のデザインなど、志村さんの表現する中にも、同じ感性が感じられます。
そして静かで優しい、ヨーロッパの秋が見えてくるのです。
志村ふくみ作 常盤色無地 仮絵羽
お値段は店頭にてご確認ください。
着物19-5-35
鑑定書付
ご売約済み
店頭にてご覧ください
常盤とは、常に変わらないこと、永久不変なことを表す語句で、常緑樹の緑を讃える美しい言葉です。
そして、松葉色と、新緑の色との2色の糸が絡み合う豪華で華麗なこの反物は、落ち着いて重厚な輝きを放っています。
糸の命が、溢れんばかりに感じられて、若々しい緑、という言葉を改めて使いたくなりました。
志村ふくみ作 梅鼠色無地 仮絵羽
ご売約済み
着物19-5-36
鑑定書付
頂戴した鑑定書には、無地単衣とだけあったので、梅鼠色とは、当店でつけました。
少し紫がかっているようにも見えますが、染料はわかりません。
華やかさはありませんが、穏やかで品格と奥行きのある、我々日本人の肌にはとても似合うお色かと思います。
また、季節や年齢を選びませんし、帯合わせによっては、巾広くお出かけができます。
志村ふくみ作 十字絣単衣
お値段は店頭にてご確認ください。
着物19-2-08
ご売約済
藍の濃淡の中に雨絣が走り、その上に白十字がポッカリと浮いています。
十字の縦の絣足は、明かるい藍に繋がれて次の十字へと導かれています。
何か、キリストが負った十字架のイメージを宿した、聖なる光が、横に流れる黄色の線から感じ取れる気がして来ます。
この織物は、単衣用として制作されたようで、少し薄手に作られていますので、素材感がデザインとコラボして、シンプルで明晰な春のお着物となっています。男物ですが、女性物にお仕立て直し可能です。
鑑定書がございます。
「ベージュ段ぼかし」
お問い合わせください
着物19-1-10
ご売約済
身丈:4尺1寸5分(約157.7cm)
裄:1尺6寸8分(約63.8cm)
今回、「ベージュ段ぼかし」と鑑定をいただきました。
多分、梅染めだと思われますが、薄いローズ系ベージュの糸が、様々な表情で横に走っています。
その上を、熨斗目風に、肩、胸と、裾に横段が織り込まれています。
全て、柔らかく、控えめな8色程の色が、穏やかに寄り添って絵羽の形を作っています。
横段がきっちりと計算された縞になっていないので、軽やかな着心地が想像されます。
単衣仕立てなので、桜が終えた頃からお召しいただけますが、サイズも小さいので、お仕立て直しをお勧めします。
お値段は銀座店までお問い合わせください。
ご売約済
着物18-8-01
身丈:4尺4寸5分(約169.1cm)
裄:1尺8寸(約68.4cm)
草木染めの良い色というのは、必ずしも濃く鮮やかに出せばいいというものでもありません。
志村さんの工房の想いにもある通り、紅花染は、「色の気品を保ちつつ、あどけなく、やわらかいふくらみがあること」が大切。
藍は、草木染めを生業とする者には中心となる「命の根源ともいうべき色」で、その美しさの探求には終わりがありません。
尽きることのない探求のひとつの答えが、この着物のふわりとした風合いで表現されているように思います。
儚くてそれでいて芯の強さも秘めた、紅花と藍の紡ぐ世界。
紅と藍という対照が絡み合うことで、淡い世界に奥行きが生まれます。
人が纏うことでその世界は完成します。
あるときは格子が、またあるときは横縞がそれぞれ目を奪い、絶妙に存在感を高めていきます。
濃く薄く少しずつ色を変えた糸が、お顔の近くでは華やかさを、上前ではすっきりした立ち姿を演出します。
眺めているだけでもため息の出るような素晴らしい仕事ですが、立体になるとこんなにも布は美しく姿を変えるのです。
素朴でありながら計算しつくされた装いをご堪能ください。
鑑定書が付いております。銀座店にてご確認頂けます。
ご売約済
着物18-5-2
身丈:4尺3寸(約163.4cm)
裄:1尺8寸(約68.4cm)
さりげない藍無地がいかに美しいか、ということを如実に物語っているお着物です。
1本1本の糸の命が感じられてくるのです。縦糸は薄い藍、緯糸は濃い藍を織り込んでいるのですが、不思議なことに、他にも色々な色が見えてくるのです。
もしかしたら、宝石の美しさに近いのかもしれません。
それから、上質の糸を使い、藍建ちに丹精を込め、折り込みに愛情を注がれたことが窺われます。
目には堅牢度を感じますが、手には柔らかさを感じるのです。
藍の無地から色々なことを学べて感謝です。
少し色焼けがありますが、丈は大きくなりました。
下前に「志むら」と刺繍が入っています。
鑑定書付きです。
ご売約済
着物17-4-45
お仕立て上がり
澤の意味は、小さな川の流れ、と共に、水が小さく溜まり、葦や荻など草の茂っている所、とあります。
クサギで染められたでありましょう緑色の暈しの緯段が、アットランダムに流れ、澤の面影が目に入ってきます。
小さな格子の所はシロツメクサやタンポポの生えた、明るい草むらなのでしょう。
4色の繋ぎ糸が陽の光になって軽やかに踊っています。
眺めるうちに緑色が透明感を増して変化していき、自然界から色を貰うという感覚が伝わってくるようです。
心満たされる作品です。
「藍すじ白十字」解き着尺
ご売約済
緻密な藍の縞の中に、白い十字がくっきりと浮かび上がるデザインです。
白と藍が出逢い共鳴しあって、白はより白く、藍はなお深く、浄くて潔い空気感が漂っています。
手に触れる前に、志村さんの糸は、立って何かを訴えてくるようです。
縦の縞と、それを断つ横の線とのずれが、余韻として後を引きます。
ほんとうは、単衣にして、肌で感じてあげたい優しい布なのです。
「蘭(あららぎ)」解き着尺
ご売約済
アララギとは、木の実が成る針葉樹の「イチイ」の別名です。
アララギ派とは、明治期終わりにできた短歌の結社の名前で、写実的、生活密着的歌風を得意とし、近代的人間の深層心理にせまり、知性的で分析的な解釈をした、とあります。
志村さんの事ですから、アララギという響きにまず耳を傾け、アララギ派の解釈に心を移し、それからアララギ、つまりイチイという樹木に目をつけた、と、流れを読んでみました。
そうすると、謎解きのようにこの織物への理解と共鳴と感動が湧き出てきました。
愛らしい木の実、針葉樹の持つ几帳面な葉っぱの波、そして知的で近代的な意志を孕んだ織物が誕生しました。
「杜若」
着物15-7-7
ご売約済
詳細は銀座店(03-3564-1191)まで
お問い合わせください
経緯それぞれの糸から、あざやかな葉色のみずみずしさが、こぼれ出てくるような志村ふくみ作の杜若。
緑地に経てに藍色、緯に黒の2本の糸で細くやさしい線の格子と杜若色から白にかわっていく線の二つの格子が織られています。
細い線の格子の中に杜若色の格子が重なり、窓枠に十字が飾られたような模様が織り出され、杜若色の中心から白へ、その白がまた薄くなっていくぼかしの絶妙な表現は、志村ふくみさんの人間国宝になっても変わる事のない織りへの純粋な心と深い愛情を感じます。
花の美しさのように濃い紫色の華麗さと葉の色の清明な緑。
緑は、生まれたばかりの新しい物としてよばれ、また、海や空などの深い色にたとえられる事のある色。
この杜若も年代を越え女性を美しく輝かせてくれる、素敵なお着物だと思います。





















































































