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タイ・インド仕入旅行 その3

これもインドらしい風景

カルカッタのお店で随分と長居をしてしまったので、デリーまでの飛行機の時間まであまり余裕がなくなってきました。
いそいでお店を出てタクシーを拾い空港へ…

インドでは国内線を乗る時も出発時間の2時間前に行かないとゲートが閉まることが珍しくないのです。
(あまり定刻で出発することはないのに、ゲートだけは時間どおり2時間前に閉まるという不思議な現象が起こるのですが…)


以前もぎりぎりの空港到着で冷や汗をかいた経験があったので今回は余裕を持て行くつもりでしたが、結局いつもと同じく時間との勝負をする羽目に…
渋谷は以前のフィリピン仕入でも国内線に乗り遅れ、フライトと日程の変更を余儀なくされたという経験があるにもかかわらず、なぜかいつも呑気なもの。

急いで拾ったタクシーは、これまたエアコンの代わりに熱風を吐き出す走るサウナ。
車内の温度は40℃を超えているはずなのに、緊張感で暑さを感じなかったのは私だけだったようで、渋谷は道沿いで販売していた水を購入するために車を止めさせ、おいしそうに冷たい水を飲んでいました。

なぜかずっとカメラ目線のこの店の主人デリーでは何件ものお店を梯子しながら仕入れを行いました。
すでにお互いに顔を覚えていて積極的に色々な布を見せてくれたり、いろんな説明をしてくれたり、和やかなムードの中で良い布を探してくることができました。

以前のブログでも菊池が書いていましたが、サリーにもその年その年の流行があるため、毎年新しい生地が出回って新鮮さを感じさせてくれます。
多くの女性がサリーを着る国にふさわしくいろんな素材、色、模様のサリーがあります。
薄いシャツ一枚で汗を流している私達の目には彼女らの涼やかなサリー姿が不思議で仕方がないのですが、様々な種類のサリーを身にまとい爽やかに動いてる姿はとても優雅で幻想的。
サリーこそがインドの魅力の一つと言っていいのではないでしょうか。

インドの布を帯に仕立てる作業中灯屋2の外国布の帯はこんな風にして日本にやってきて、着物や帯に姿を変えて、皆様のもとに届きます。

そう考えると皆様がお持ちのインドやウズベキスタンの帯も、いつもよりちょっとだけ愛おしく見えるのではないでしょうか?

今回 仕入れたサリーや、インドシルク、カンタは今、単衣の着物、羽織、帯に仕立てている真っ最中。
何点かは既に出来上がり、皆様にご覧いただくのを今か今かと待っています。

5月下旬には店頭に並べることができる予定ですので、皆様にお見せできる日を楽しみにしています。

余談ですが、帰国後私は1週間ほど体調を崩し、なかなか本来の状態に戻ることができませんでした。

インドは優雅で、幻想的で、そして何より過酷です…

アトリエ担当 森

タイ・インド仕入旅行 その2

カルカッタの人の波

チェンマイからバンコクを経由して、インド東部の町カルカッタに着いたのは夜2時。
とりあえず眠い目をこすりながら、何とかホテルにチェックインしたのはすでに3時を回ったころ…
もうほとんど早朝と言っても良い時間です。

やっとベッドにもぐりこんだのも束の間、7時には起きて朝食を取ってカルカッタの街に出発。
カルカッタでの目的のお店はたった1軒。
その1軒を目指して行くものの…


渋滞でなかなか動かない車いたるところ人、ひと、ヒトだらけ、そして長い長い車の列。
ホテルからそう遠くないはずのお店まで、日本では想像もつかないような時間がかかります。
この強烈な人と車の多さに、何よりインドに来たことを実感させられます。

インドで一番体力を使うのがこの移動。
外を歩けば40℃を超える暑さと陽ざしに、タクシーに乗っても壊れているのか、エアコンらしきものから吐き出される熱風に体力をどんどん奪われます。


至福の時間 カルカッタでの仕入1時間余りの移動ののち、やっと目的のお店に到着。
いざ仕入れが始まってしまえば、エアコンも効いているし、チャイも出してくれるし、何より素敵な布を探すことができる至福の時間。
さらに、もう何年もこの店に通っている渋谷は、カウンターの中に入って好きなように布を出してみることが許されています。
現地の人ですらカウンターの外側から店員に布を取ってもらわなければならないので、他のインド人からは不思議そうな目で見られていますが、そんなことはもちろんお構いなし。時間の許す限り布を探します。

このお店は時代の流れの中で失われつつあるインドの伝統的産業を復興させるべく、優れた職人達を集め伝統の技術を現代に調和するように教え、良いモノを作らせて正当な値段で売ることで大勢の職人達の生活を支えている女性活動家が経営するお店です。

織物、染め物、数々の布を広げ、眺めていたらその美しいさにため息が出ます。
国内はもちろん世界の有名なデザイナー達のニーズに応える製品を作り上げるまでの道のりは平凡ではなかったでしょう。
現在は布だけでなく音楽、演劇、踊り等文化全般に力を入れているそうです。

どの国も自国の伝統文化を愛し、守り、育てていくための運動が行われていることを頼もしく思い、そしてその恩恵にあずかれることはとても幸せなことだとつくづく感じます。

カルカッタでの滞在時間は約20時間。再び機上の人となり、インドの首都デリーを目指します。
 
アトリエ担当 森