暦の上では衣替えの時期を迎えようとしています。
すでに単衣の着物を着て涼しく過ごし始めてしまうと、これから先にやってくる盛夏をどのように着物のやりくりをしようかと考えてしまいます。
ご紹介の着物は、銀通しで御簾を表現した着物地に、和歌が描かれた小紋です。
花の色は うつりにけりな いたづらに
我が身 世にふる ながめせしまに
古今和歌集におさめられた小野小町の歌が繰り返し書かれています。
「花」とくると古典では桜を表すようですが、「ながめせしまに」の長雨にかけてこれから訪れる梅雨の季節に着るのも素敵かもしれません。
人々との諸々のことを考えて物思いにふけっていたら、自分も色褪せてしまったよというような歌です。
平安時代の女流歌人としては評価が高く、そして美人であったであろうその女性の心情を思うと切ない気持ちにもなりますが、優雅な時代を生きた小野小町の歌を纏うのもまた粋な感じがします。
合わせた帯は、錦紗の単衣着物から帯に仕立て直しした朝顔の帯です。
御簾の中から朝顔を眺めていた情景のように合わせました。
優雅なこの時代の様子を思い浮かべながら装うのも楽しいです。
御簾に文字散らし文様の単衣付下 88,000円(税込) (着物23-05-34)
身丈:4尺1寸(約155.8cm)
裄:1尺7寸(約64.6cm)
袖丈:1尺3寸3分(約50.5cm)
袖巾:8寸5分(約32.2cm)
前巾:6寸3分(約23.9cm)
後巾:8寸2分(約31.2cm)
籬にアサガオの名古屋帯 44,000円(税込) (帯25-05-08)
長さ:1丈(約380cm)
帯巾:8寸(約30.4cm)