志村ふくみさんは昭和43(1968)年、近江八幡から京都・嵯峨に移り住み、この年“藍建て”を始められました。志村さんはこの年44歳、命がほとばしるような、瑞々しい躍動感あふるこの帯は、それから間もなくの頃の作品かと思われます。
苅安+藍は輝くような緑
梔子+藍はやや赤みを帯びた緑
が得られるとか。苅安+藍から発する、この帯からは、すくってもすくってもすくいきれないみどりの光が放たれているようです。
好ましい緑を得るためには、苅安を先に藍を後に染めるのだそうですが、そのためにも自身の藍甕を持ち藍建てをすることが必須であったようです。
藍建てをはじめるにあたっては、白洲正子の紹介により、藍染め絞り作家・片野元彦の指導を受けたそうです。
弾ける紬糸からは、真っ直ぐな意志が感じられます。織り糸も白洲正子のアドバイスによりそれ以前のものとは変えた、と言われています。
この帯は、いくつかのご縁により、志村さんと親交のあった方が白洲さんのお店「こうげい」で買われたそうです。願わくば、志村さんの紬に合わせてお召しいただきたいですね。
880,000円(税込)
帯25-05-15
長さ:9尺2寸(約349.6cm)格子
帯巾:8寸(約30.4cm)
志村ふくみ作「古帛紗」(こぶくさ)2点
珍しい志村さんの古帛紗のご紹介です。小さな布の中に「志村ふくみ」がぎゅっと詰まった、手の温かみが伝わってくる小品です。
1点は、美しい緑のぼかし、志村作品の中でも人気の高い色柄、もう1点はやさしい色合いの格子、どちらもおっとり、こっくりした趣の中に凛とした品良い袱紗に仕上がっています。
20~30年前の作品ではないかと思われます。
2点とも110,000円