着物紹介」カテゴリーアーカイブ

雨の中の夏燕

たくさんのお客様にご来場いただいた夏展も無事に終了いたしました。足をお運びいただいた方、遠方よりお問い合わせ頂いた方、心より感謝申し上げます。
夏衣裳をさらりと羽織って、その軽さに驚きながらも、楽しんでご試着いただけたのではないでしょうか。
まだまだ上布も数がございますので、引き続き皆様のご来店をお待ちしております。

さて、関東も梅雨入りし、湿気を含んだ風がしっとりと緑にしみこんでいくようです。

そんな雨の中をのびのびと飛びまわる燕たちの錦紗の単衣が入荷しました。
飛べるようになったばかりの燕もいるのでしょうか、楽しくて楽しくて仕方がない様子が伝わってくる素晴らしい燕たちの絵。写真の色よりも、もう少し落ち着いた濃紺色です。
この燕たちのように、雨を楽しみながら梅雨明けを待ちたいですね。

雨の中の夏燕 雨の中の夏燕

燕の図錦紗付下 126000円
身丈 4尺2寸(約159.6㎝) 裄 1尺7寸5分(約66.5㎝)

松田

夏羽織

夏羽織のうっとりするような美しさを楽しめる季節になりました。
まるで麻のような質感の生成り色の単衣は見た目にも涼しく、夏日が多くなる5月におすすめです。羽織はアンティークの花車模様が優美な透紗紋(すきしゃもん)という織り。
さらさらと、歩く度に涼しげに翻るはんなりとした紋紗の羽織を、このようにざっくりとした生紬に合わせていただいても素敵です。

夏羽織 夏羽織

花車模様紋紗単衣羽織(着物12-6-34) 58,800円
裄 1尺6寸2分(約61.6㎝)
身丈 2尺6寸(約98.8㎝)

生紬単衣 48,000円
身丈 4尺5分(約153.9㎝)
裄 1尺6寸5分(約62.7㎝)

格子名古屋帯 12,000円

松田

鷺|夏帯

袷から単衣、そして夏物へと向かい着物の種も変化が楽しめる時期。
みなさん待ち遠しいのか、夏の商品のお問い合わせも増えています。
来月は単衣の月になりますが、帯は絽染で軽やかにしてみました。
黒地の中央に蓮の水辺に白鷺が、輪郭はぼかされ羽毛の柔らかさが感じられます。
サギの字体の「路」は「露(透き通る白いつゆ)」
「鷺」は「透き通る」ように白い鳥を差しているそうです。
くちばし、首、脚が細長く気高くみえます。
こちらの帯は、帯巾8寸(約30.4cm)とやや狭いです。

鷺|夏帯 鷺|夏帯

白大島単衣 127,000円
身丈 4尺2寸(約159.6cm)
裄 1尺7寸3分(約65.7cm)

蓮池の鷺絽名古屋帯(帯13-4-26) 58,000円

斉藤

海のきもの

ゴールデンウィークは、楽しく過ごされましたでしょうか。
新緑が青々と芽吹くのを見届けたあとに思いをはせてしまうのは、青い空、白い雲、輝く海…。気がつけば立夏ですね。
深い紺色のアンティークの絽縮緬に群青の波、縦に走る有職文をかたどったような細い帯が、作り手のモダンな感性が垣間見えます。
海辺を思うなら、やはり貝がら。形が面白く種類が豊富なことから、江戸時代から意匠にされてきたそうです。
貝の帯で思い出すのが、上村松園の「蜃気楼」という絵。蛤から立ち昇ったゆらぎに浮かび上がる美女の図です。
白珊瑚のかんざしにきものの裾には波模様、貝尽くしの美しい丸帯を無造作に、華やかに締めています。
美しい海の精が纏う貝の帯が、私にはとても新鮮にうつりました。

銀座で海を見ていたら、本当の海に出掛けたくなってきました。

海のきもの 海のきもの 海のきもの

波模様絽縮緬小紋 54,600円
身丈 4尺5分(約153㎝) 裄 1尺7寸8分(約67㎝)
貝尽くしの図名古屋帯(帯13-4-7)30,000円
魚に珊瑚名古屋帯(帯11-7-18) 65,100円

松田 

単衣展|羽織

杜若色にブドウ色、グレーの色目の伊予縞の染単衣羽織。
赤みを帯びた紫があざやかです。
蔓草に花模様がほどよい間隔ですっきりとみせています。
ショールなどは肩から滑り落ちる事もあり、出掛け先では気になるもの。
羽織はそんな心配もなく私も重宝しています。
肩掛けがわりにいかがですか。

花唐草図羽織単衣

花唐草図羽織単衣 76,000円
身丈 2尺6寸(約98.8cm)
裄 1尺7寸5分(約66.5cm)

続いてご紹介するのは、当店でも人気の黒絵羽織。
黒はどの色のきものをも引き立て、品格を失わない色。
男性的な印象がありながら、羽織ると大人の女性の色気が感じられドレスコードも上がります。
単衣だからこそ、淡色のきものに重ねると錦紗の透け感がより感じられます。
この色目は強くみえますが、素朴で愛らしい水鳥達によりほどよい柔らかなイメージがプラスされました。

柳に水鳥図単衣羽織

柳に水鳥図単衣羽織 84,000円
身丈 2尺4寸(約91.2cm)
裄 1尺7寸(約64.6cm)

単衣展|鯉の滝昇り単衣

薄鼠色に中陰揚羽蝶1つ紋が入った紋錦紗の単衣です。
肩まわりに描かれた青楓が滝にかかるかのように山深き景色をも想わせます。
滝を昇りきると龍と化す、鯉は出世魚。
波しぶきに跳ね上がる大きく力強い鯉。
クローズアップした画像は、下前の絵柄です。
風にはらりと裾が返った時に、どきっとしそう。
躍動感溢れる絵になっています。

鯉の滝昇り単衣 鯉の滝昇り単衣

青楓に鯉の図単衣 120,000円
身丈 4尺3寸(約163.4cm) 裄 1尺7寸(約64.6cm)
龍村製袋帯 89,250円

斉藤

蛍の帯

茶鼠色の絞り紬地に、染と蛍には刺繍が入っています。
蛍は5月~6月頃が盛り。
平家蛍・源氏蛍・姫蛍といろいろな名があります。
宇治には平家と源氏が争って入り乱れた激しい合戦を「蛍合戦」と呼ぶ民話があり、蛍が一団で集まる習性を観てのことかと思います。
飛んでいるところを時々見ると、まだ日本にもきれいな水源が残っているかと思い、ほっとしますね。
色目が渋いので、烏の子と薄水色の紬にあわせてみました。

紅花紬単衣に蛍の図刺繍名古屋帯 蛍の図刺繍名古屋帯

紅花紬単衣 58,000円
身丈 4尺1寸3分(約156.9cm)
裄 1尺7寸3分(約65.7cm)
袖丈 1尺2寸(約45.6cm)

蛍の図刺繍名古屋帯 62,000円
トンボ玉付二部紐 12,600円

斉藤

大正後期から昭和初期の単衣

単衣展が13日から開催され、多数のお客さまにご来店いただいております。
皆様が毎年、感嘆のため息をつかれるのは、やはり大正後期がら昭和初期にかけての単衣。
この時代は、上流階級の夏衣裳から新柄や新しい織り技の試みがなされて流行するのが定石で、大胆で華やかな意匠と色彩が大変好まれ、昭和の前期は花柳界と上流社会、そして若い娘たちの衣装は見分けがたいほどに近似していたそうです。
現代で単衣というと裏地を付ければ袷になるものが大多数ですが、きもの文化全盛期のこの時代の単衣は、まさにこの時期にだけ、ごく細い糸を使って織られた紋縮緬や紋錦紗など、その手ざわりは女性なら誰しもが心躍るようなもので溢れています。
透け感のある紋織とそれに呼応する美しい染め、きらめく箔糸を織り込んだ華やかな意匠、柔らかで繊細な絽縮緬の素晴らしい感触。

この時代のうすものは、夢のようです。当時の銀座はどれだけ華やかだったでしょう。

陽気も爽やかになってまいりました。希少な美しい着物、帯をご覧にぜひお出掛けください。

紫陽花文様付下 蝶々文様単衣小紋 百合の図単衣訪問着

紫陽花文様付下(着物13-4-8) 189,000円
身丈 4尺1寸(約155.8㎝) 裄 1尺7寸8分(約67.6㎝)

蝶々文様単衣小紋(着物13-4-12) 147,000円
身丈 4尺5分(約153.9㎝) 裄 1尺7寸5分(約66.5㎝)

百合の図単衣訪問着 252,000円
身丈 4尺(約152㎝) 裄 1尺6寸8分(約63.8㎝)

松田

綿薩摩

ひと嵐去るごとに、暖かくなっていきますね。
今時分の季節におすすめしたいのが、綿薩摩です。
ごく細い木綿糸をしっかりと打ち込んで織り上げられており、それゆえしなやかな肌なじみの良さと心地良さは、きものを着つくして、最後に行きつくのはこの綿と言われるほど。
絣締めは、大島紬と同じ技法である締機(しめばた)を用います。
現代薩摩絣の礎を築いた、永江明夫氏率いる東郷織物の証紙には、武者小路実篤が綿薩摩の着心地に感動して贈ったという「薩摩絣、手織絣、誠実無比」の言葉が。
トルソーに着せた2枚は、みじん格子の大変使いやすい色目で、外国布もよく合います。
もちろん藍染のものもご用意しております。
希少になりつつある綿薩摩の着心地を、ぜひ味わってください。

綿薩摩 綿薩摩 綿薩摩 綿薩摩

赤茶色みじん格子 単衣(着物13-2-15 証紙付き)168,000円
 身丈 4尺2寸3分(約160㎝) 裄 1尺7寸5分(約66㎝)
インド更紗名古屋帯 126,000円

若草色みじん格子袷 126,000円
 身丈 4尺2寸5分(約161㎝) 裄 1尺8寸(約68㎝)
ウズベキスタン アドラスのコラージュ名古屋帯 220,000円

松田

春の物語

ここ数日、まるで冬に逆戻りしたかのような肌寒い日が続きましたが、皆様お体お変わりありませんでしょうか。
また明日からは天気は快晴とはいかないまでも、春らしいひびが続くようですね。
週末にはお花見のご予定がおありの方も多いのではないでしょうか。

本日はそんな春の陽気を感じさせてくれるコーディネイトをご紹介。
桜、たんぽぽ、隠れ笠、蝶ちょにわらび、水辺の鴛鴦、浅緑の地に夢の中のような春のモチーフが雪輪と色紙継ぎに染められています。
生成り色、絣の結城紬なら、軽い着心地で、夜になって少し肌寒くなってもショール1枚でも大丈夫。
春のお出掛けにいかがでしょうか。

春の物語 春の物語 春の物語 春の物語
      

袷生成り地藍と黒の小絣結城紬 126000円 身丈4尺1寸5分 裄1尺7寸8分  
蝶ちょ、桜、鴛鴦染名古屋帯 25000円 
半衿5800円 玉かんざし15000円

白井