京都徒然 その6

京友禅見学京都着物研修旅行のしめくくりは、染匠市川株式会社さんです。
工房におじゃまして、伝統的手描き京友禅についてお聞きしてきました。

白生地から出来あがりまで、約15~20の工程を必要とする京友禅です。
そのひとつひとつに高度な技術を必要とします。
なかでも、着物の出来を左右する糊置作業では、伝統的な糊糸目にこだわっているそうです。
廉価で出回っているインクジェット加工の商品とは、まさに一線を画する仕上がりでした。
 
下絵描きの作業場で、私達が見つめるなか、職人さんが絹生地に青花で細かく花弁を描きはじめると、みるみるるうちに美しい菊の花が咲きました。
達者な筆さばきは見事です。
その構図は不等辺三角形である事が多く、華道にも通じている、などなど…お話は尽きることなく。
いっぽうでは、長く反物をめぐらし、丁寧に色挿しをする職人さんの仕事ぶりも拝見させていただきました。

社長さんからは、日本画集など、膨大な資料も見せて貰いました。
細かく描き込まれた下絵図案の束に、創意工夫の熱意とご苦労が伝わってきました。

灯やスタッフからは、付下げと訪問着の見分けやその違いの質問が出ました。
一般的には、反物の状態で柄を付けるのが付下、仮絵羽仕立てにしてから柄を付けるのが訪問着となっています。
なので付下は柄が縫い目ではつながっていません。
しかし今では、華やかな付下として作られた着物は、脇の柄がつながっているものも多いそうです。
付下と訪問着の境目は、なくなってきているようです。

日頃着物に携わっていますが、京都の職人さんにお話を聞くことができるのは貴重な体験でした。
皆さんの布を見つめる真摯なまなざしを心に刻みました。
私達は明日からの仕事への意欲を胸に、京都駅で美味しそうなお弁当を選んで新幹線に乗り、京都を後にしました。

海老沢

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