月別アーカイブ: 2023年5月

蚕起食桑、紅花栄(かいこおきてくわをはむ べにばなさかう)

七十二候によれば、5月後半は「蚕起食桑紅花栄」。蚕は元気に桑を食べ、紅花は生き生き花を咲かす、誠にお着物好きにはありがたい季節ですね。

6月に近づけば、単衣も“うすもの”に。やがて絽、紗、麻、上布・・・季節の移りに合わせて、装いの楽しみは尽きません。
盛夏を前に、柔らかで軽やかな“うすもの”のご紹介です。

着物っていいなぁ〜と女に生まれた喜びを、ぐーんと感じるなんとも繊細な美しさ!

写真上:23−05−52 縦絽筧に秋草単衣5つ紋 裄1尺7寸、身丈3尺9寸5分 44,000円

23−05−60 間垣に萩とトケイソウ名古屋帯 66,000円

写真下:23−05−12  藤紫地秋草の付下げ 裄1尺7寸3分、身丈4尺1寸 66,000円

21-08-08 花々絽縮緬名古屋帯 88,000円

お客様の素敵な装い

本日も素敵なお客様の装いをご紹介致します。

季節にぴったりの本塩沢をすっきりとお召しのお二人。

よく見ると大きな金魚が織り出されたモダンな帯と、白地に紺のバティックの帯でどちらも爽やかですね。

次のお客様は小豆色の単衣の結城が何とも言えず良いお色。笑顔でポーズ。

大変珍しい緑の和更紗と紫根染の布をコラージュした創作帯が春らしいですね。

皆様も、ぜひ、着物でお出かけ下さい。

ひと悲します恋をして 鈴木真砂女と銀座の柳

“銀座の柳”はよく耳にする言葉ですが、銀座の街並みに柳は少なく、灯屋2のご近所柳通りにわずかにその名の面影を残しています。この柳は少々頼りない風情で、幽霊も二の足を踏みそう!

その柳通りをちょっと入ったところに「幸稲荷」さんが鎮座しているのをご存じの方も多いことでしょう。その路地に俳人鈴木真砂女(1906〜2003)の小料理屋「卯波」があった。はず? 何度か覗いてみたが再開発されたビル群のどこにその小さな店があったか、定かではありません。老舗の大旅館の女将から小料理屋の女将へ、年中着物で通した真砂女の句には、食べ物と並んで着物の句がたいへん多いように思います。

   商売の書き入れ時や単衣帯

   夏帯や運切りひらき切りひらき

   夏帯をきりりと締めて病まぬなり

   夏帯や泣かぬ女となりて老ゆ

   衣更てこののちとてもこのくらし

そして

   羅(うすもの)やひと悲します恋をして

   羅(うすもの)や細腰にして不逞なり

「ひと悲します」恋の果て、ほぼ身一つで家を出され、俳句仲間からの借金で、銀座に小料理屋卯波を開店したのは真砂女52歳の時。2kの公団住宅に住み銀座に通い、商売に励み、句作に励んだ生涯。

   ある時は船より高き卯波かな

   己が手でひらきし運や衣更

7歳下の恋人の急死は70歳の時。一度の見舞いも許されなかったという。

   白桃に人刺すごとく刃を入れて

   秋袷悪女の汚名いまだ消えず

松屋銀座のお歳暮の宣伝に起用されたのは87歳。地下鉄にも貼られたポスターは大評判であったそうです。その写真の背景にも柳が揺れています。柳は見かけよりずっとしぶとく強靭な植物といわれますが、小柄で華奢なまさにこの人のよう。

   今生のいまが倖せ衣被(きぬかつぎ)

   かねて欲しき帯の買えたり鳥雲に

   女には欲しきもののみ柳散る

こういう気持ちは女でなくてはわからない、と真砂女も語っています。自身思いあたる方は多いのでは?かく言う私もその一人。

柳の着物、柳の帯で、さっそうと薫風の中、銀座を闊歩する・・・これも、女にしか味わえない至福。真砂女にも琉球柄の白の単衣?を着て5月末の銀座を歩く素敵な写真が残っています

写真上 水紋に枝垂れ柳の付下 23-05-16  88,000円

ベージュ燕帯 22−01−37 80,000円

写真下  絽手書き夏草着物 33,000円

23−05−45 絽柳に撫子鷺の帯 132,000円 (全て税込)

 

 

葵祭りと葵の文様

本日は葵祭にちなんで、葵を織りだした帯と葵を描いたお着物をご紹介いたします。都の平安と豊穣の祈りが込められた「葵」を身につけて、爽やかな5月の風の中を銀座にお出かけになりませんか?

5月15日、4年ぶりに「葵祭」が開催され、華やかな斎王代行列の映像をご覧になった方も多いことでしょう。

平安時代の旧暦4月、中の酉の日に、京都上賀茂、下賀茂二社に賀茂斎院(斎王=皇女王女から選ばれた)が参向し、これに天皇、皇太子、皇妃の勅使などが付き従う行列は、服装、飾馬など華麗を極め、最高のおしゃれをしたその晴れの姿を貴賎こぞって見物したということです。この時代に「祭」といえばこの賀茂祭を指したくらいで、賀茂社の御簾、冠、車、家々も葵の葉で飾られたので、「葵祭」とも呼ばれるようです。

『源氏物語』「葵」には、この祭を見物に出かけた、光源氏の正妻葵の上と、正妻候補とも言える六条御息所の名高い「車争い」事件が描かれています。その結果敗れた御息所は生き霊となって葵の上にとり憑き、ついに死に至らしめ、御息所も源氏の愛を失って、伊勢に下る・・・源氏をめぐる女君二人が物語から退場し、新たなヒロインが登場する、物語のターニングポイントとなる事件といえましょう。

葵の葉を飾るのは、賀茂社のご神紋が「二葉葵」であるから。この祭りは武家に政治権力が移った鎌倉時代(昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の頃)に途絶え、江戸時代に復興されていますが、徳川家の紋が「三葉葵」であったことに由来があるらしいですね。

それでは本日ご紹介のお着物です。大小の霰がぎゅっと詰まった江戸小紋の裾に、葵の蔓が流れている大彦さんのお品。葵の葉っぱは、大彦さん特有の多種の刺繍で趣が添えられています。喜多川平朗さんの葵唐草文の帯を添えています。

23-04-22 大彦作 霰文に葵の付下 100,000円(税込)

18-5-1 喜多川平朗製 葵唐草文名古屋帯 88,000円(税込)

次に鱗模様の入った透かし紋織りに擦り疋田で大きな葵を表現して、金くくりで上品に仕上げている帯。糸がしっかりしているので、紗までは行かないで、単衣用として重宝しそうです。

23-05-38 葵文様の夏帯 40,000円(税込)

最後にご紹介するのは、シャリ感のある糸で透かしを入れた変わり織りの名古屋帯。
丸帯の片割れなので、暈しの色目といい、水葵の姿といい、どこか品格が漂っています。

23-05-54 水葵文様の単衣名古屋帯 60,000円(税込)

 

 

灯屋 古籠展のお知らせ

此度の企画展は花籠の原点と言える唐物写しを中心に、山野草と相性の良さそうな古籠を展示販売致します。

会期中はなげいれの圷奈保美氏に挿花をお願いしてしております。

併せてお楽しみ頂ければ幸いです。

会期

・5月19日(金)〜22日(月)

・5月26日(金)〜29日(月)

10時30分〜18時30分

会場   灯屋

東京都渋谷区代々木4−8−1 小田急線・参宮橋駅東口より徒歩3分

03−3465-5578  www.akariya.co.jp

 

 

 

夜もアクティブ、銀座

すっかり人通りも以前と同様になった銀座中央通り。本日は夜の様子をご紹介致します。

灯屋2の斜向かいにあるルイ・ヴィトン。

昼間は人の賑わいが絶えませんが、夜になると何ともインパクトのある草間彌生さんのアートがショーウィンドから浮かびあがってきました。

そしてその真向のビル、シャネル。昼間はシンプルな黒の壁面ですが、夜になるとエッフェル塔とお馴染みのシャネルマークが浮かびあがっています。

そして、銀座のシンボル4丁目の和光はいつも存在感がありますが、

夜もいきいきと泳ぐ鱗のディスプレーが楽しい。

デパートのディスプレーも夜中にお召し替え。

JAPANブランド日産ビルも華やかにライトアップされています。


夜もすっかりアクティブになった銀座が皆さまをお待ちしています。

灯屋2も夜7時まで営業しています。ぜひ、お立ち寄り下さい。

 

生まれ変わる銀座

ゴールデンウィークが終わり、雨上がりの銀座はエネルギーに満ちているようです。

各国から観光客が大きなトランクを持って街を歩き、いろんな言語が飛び交います。

銀座の柳がしなやかに風になびく傍で、大きな建物が新しく生まれ変わろうとしていて、銀座の景色も変わりつつあります。

灯屋2銀座店の前の銀座通りもあちこちでシートが張られ、次の話題をさらうべく準備しているようです。


薫風水温む

連休も終わるころともなれば、風もやわらかに流れ水音も懐かしくなってきます。

今回は、この季節のお着物と帯をご紹介させていただきます。

昭和初期の単衣の中には、錦紗に変わり織や透かし文様を入れたジョーゼットといわれる薄物があり、お洒落感や特別感がひとしおです。

当店ではそれらにひと手間かけてきれいに再生して、お目にかけています。

マスクも外れ、再びの着物生活をお楽しみいただくために、どうぞお出かけください。

着物 23-04-12 青紅葉に菖蒲の単衣小紋 110,000円

帯 22-06-74 雅楽文様刺繍の絽丸帯 121,000円着物 23-05-13 投網にアユの群れの付下 66,000円

帯  22-07-05  貝尽くし文様刺繍の名古屋帯 132,000円

着物 22-05-28 投網の絽の付下げ 77,000円

帯 20-6-35 川を遡上する鮎の帯 55,000円 (全て税込)

灯屋2銀座店 - 販売ギャラリー
水曜定休
営業時間11時~19時
東京都中央区銀座2-6-5 アサコ銀座ビル2F
03-3564-1191

 

うさぎ伝説

うさぎという動物は、日本では国民的に愛されているのでしょうか。

満月に愛でられる餅つきうさぎ、出雲大社のいなばの白うさぎ、名物裂花兎金蘭の中の樹下のうさぎ、そして謡曲竹生島に謳われる波うさぎ、とこれらは有名ですが、他にも新潟県弥彦神社の玉兎と関川村の光兎神社 、加賀に伝わる月うさぎ、など伝説は尽きないようです。

干支の中でもうさぎ年の方たちは、ウサギの会とか言ったりして大手を振って集まったりしていますよね。日本画の世界にも名品があります。

さように人気のうさぎ文様の帯を、着物を合わせてご紹介します。

◇波うさぎ麻の名古屋帯      120,000円(税込)  (帯23-04-31)

長さ:1丈(約380cm)      帯巾:8寸(約30.4cm)

◇よろけ縞文様の綿薩摩単衣  176,000円(税込) (着物23-03-12)

身丈:4尺4寸(約167.2cm)
裄:1尺8寸(約68.4cm)
袖丈:1尺3寸(約49.4cm)
袖巾:9寸2分(約35cm)
前巾:7寸(約26.6cm)
後巾:8寸3分(約32.3cm)

謡曲「竹生島」より
「緑樹影沈んで 草木に登る気色あり 月海上に浮かんでは 兎も波を奔るか 面白の島の景色や」

 

 

◇木賊にうさぎ文様絽紗刺繍名古屋帯  85,000円(税込)  (帯22-06-40)

長さ:9尺3寸(約353.4cm)      帯巾:7寸9分(約30cm)

◇女郎花に蛍刺繡絽小紋  88,000円(税込)    (着物21-07-10)

身丈:4尺2寸5分(約161.5cm)
裄:1尺7寸8分(約67.6cm)
袖丈:1尺3寸(約49.4cm)
袖巾:9寸(約34.2cm)
前巾:5寸8分(約22cm)
後巾:7寸8分(約29.6cm)

 

 

◇熊谷好博子作 板目文様名古屋帯  55,000円(税込)   (帯23-02-33)

長さ:9尺6寸(約364.8cm)     帯巾:8寸2分(約31.2cm)

◇翡翠帯留  26,400円(税込)

◇萩とアジサイに兎の単衣付下  154,000円(税込)   (着物23-04-26)

身丈:4尺1寸5分(約157.7cm)
裄:1尺7寸5分(約66.5cm)
袖丈:1尺3寸(約49.4cm)
袖巾:8寸9分(約33.8cm)
前巾:6寸5分(約24.7cm)
後巾:7寸8分(約29)

 

ご来店お客さまの装い〜外国布の帯

インドネシアに向けて作ったソバギとよばれるインド更紗の帯。

更紗なので、木綿、今の季節にもぴったりです。

モダンなたてわくの絣模様に茜色の帯が、映えてます。

白地にインドの型染した灯屋2の手作り丸ぐけを合わせて、いらっしゃいます。

斜め格子の単衣には、インドの型染め帯で軽やかな着こなしをされています。

胴前とお太鼓の模様が、ちがうのが、また、楽しい。素材も今の季節にぴったり帯です。

この度のご来店誠にありがとうございます。

灯屋2銀座店には、常時700本の帯をご用意しています。

合わせたいお着物が、ある時には、どうぞ、銀座店にご持参ください。

お洋服の時にも、衿を付けて、お着物をお召しの時のように帯を合わせて、ご覧いただけます。

灯屋2銀座店 - 販売ギャラリー
水曜定休
営業時間11時~19時
東京都中央区銀座2-6-5 アサコ銀座ビル2F
03-3564-1191