これらの美しい帷子は、江戸期に武家や公家の女性たちの夏衣裳として用いられた、刺繍を施された上布の断片です。
閉ざされた門の遥か向こうでの、雅な生活を彷彿とさせる意匠です。
今回、代々木のアトリエで、お風呂に入り、繕いを施し、さっぱりとして、百数十年の眠りから覚めました。
さて、これから帯に仕立て上がり、この先々まで共に歩んでゆく道連れとの出逢いの時を待つ事になります。
6月2日土曜日からの、「夏よ恋」銀座店でのイベントにどんなお顔で出品するか、今しばらくお待ち下さい。
美しい色の単衣小紋が入荷しました。
地紋の網文様が、ほのかに透けています。
細かな水玉に、何色にも染め分けられた柳の葉。
小紋といっても柄が大きいので、付下にも見えます。
合わせたのは、やはり透け感のある格子の地紋がある斜め縞の染帯。
華やかでありながらすっきりとしていて、粋で可愛らしい。
素敵な着こなしには、相反するイメージの形容詞がたくさんつきます。
いろんな要素を内包しているからこそ、えもいわれぬ美しさが立ちのぼるのです。
そしてそこに、跳ねてきたのは一匹の蛙。
こんな素敵な世界があるなんてケロケロ!とうれしそう。
アンティーク着物の柳もやさしく揺れだしました。
時間や空間を超えて、いまここに楽しい物語がはじまるようです。
柳の単衣小紋
30,000円+税
身丈:4尺(約152㎝)
裄:1尺6寸8分(約63.8㎝)
(後ろ裾に少しヤケがあります)
斜め縞染名古屋帯
30,000円+税
薔薇根彫り蛙の帯留
18,000円+税
海老沢
「単衣と上布」へのご来場誠にありがとうございました。
連日たくさんのお客様にご覧いただけました事を、スタッフ一同心より感謝、御礼申し上げます。
まるで夏のような日もあったGW。
店内が、お客様皆さまの着物への情熱でますます気温上昇となりました。
「単衣じゃなきゃ感じる事が出来ないこの軽やかさ、魔法よね!」と美しい絵画が描かれたような錦紗が、羽衣のように纏われる瞬間は、何度拝見しても惚れ惚れとする美しさ。
このお仕事をさせて頂ける事をつくづくと感謝いたします。
今回の灯屋2春のイベント「単衣と上布」は、6月になれば、早めに麻を着用するというお着物の新常識を取り入れました。
「今年こそは、宮古上布を楽しみたいの」と言って頂いたお客様の輝く笑顔が、私達の胸に残ります。
引き染めの暈しが、まるで風に揺れているようにたおやかに美しく。
小さな百合を引き立てているような錦紗の単衣。
裄もたっぷりとうれしいお仕立てに上がりました。
藤を染めた縦絽の名古屋帯は、細く白い線が、透ける光のようにも雨のようにも感じる。
この絶妙な白い縦絽の織り線実は、帯芯の効果です。
縦絽や紗は、透ける美しさを利用して楽しむのが、愛好者にはたまらない遊びです。
何気なく取り入れている、灯屋2アトリエの職人達の腕が、光ります。
昔の着物には、現代の想像を越えた夢のような美しさがつまっています。
紫引き染め暈し百合の小紋 お仕立て上がり 120000円+税
身丈:4尺1寸2分(約156.6cm)
裄:1尺7寸9分(約68cm)
縦絽藤の染め名古屋帯 (帯18-4-16) 40000円+税
白井
初夏の日差しがまぶしい頃となりました。
開催中の「単衣と上布」。
ご来店のお客様も、やがて来る夏に心を寄せ、思いを馳せていらっしゃるようです。
この季節、染織は粋を極め、素材も文様も最も豊富なときです。
まとうことで日本の美意識を体感できることでしょう。
現代ではもう見られなくなってしまった、単衣着物や帯の繊細さは特筆すべきものです。
ご覧ください、やわらかな絽縮緬の縦絽に沿うように染められた、細い縞と流水と柳。
小紋の型染めの技術の素晴らしさが、凛とした情緒をあらわしました。
合わせた帯は、銀糸が織り込まれた地に、伸びやかなツバメと水紋の刺繍。
黄水晶の帯留が、あたたかい日差しのように光ります。
衣が人生を変えるということ。
今までたくさん目の当たりにしてきました。
これからも続発する事がまちがいない、魅力ある一揃いです。
縦絽縮緬の柳文様小紋
身丈:3尺9寸(約148.2㎝)
裄:1尺6寸5分(約62.7㎝)
袖丈:1尺6寸5分(約62.7㎝)
襦袢袖付き
お仕立て直しすることで、身丈:4尺5分(約153.9cm) 裄:1尺7寸(約64.6cm)程度まで大きくすることが可能です。
滝にツバメの刺繍夏名古屋帯
120,000円+税
帯18-4-13
黄水晶帯留
10,000円+税
(少々キズあります)
海老沢