源氏物語の装束〜4 「青鈍(あおにび)色」の謎

『源氏物語』では、誰がどのような衣装を身につけているか?その色彩、組み合わせが物語の転換点で重要な役割を持っていると考えられています。

「玉鬘」巻中の光君による、正月の衣装配りは、光源氏にとってこの女君は、このような女性なのだ、こうあってほしい、という願いが込められ、それを受ける女君はその期待に応えなければならない、という複雑な関係性があり、現代より衣装に関してはもっと“政治的”とも言えるものかもしれません。

この衣装配りで、空蝉のために源氏が選んだ衣装は「青鈍の織物、いと心ばせあるを見つけたもうて、御料(ごりょう=お手元)にある梔子(くちなし)の御衣、聴(ゆる)し色(ごく淡い紅)なる添えたまひて」

空蝉は出家しているので、喪服などに用いられた「鈍色」に薄く藍を重ね染めしたと思われる「青鈍」の織物を贈ったものでしょうか。

鈍色は古代は喪に着る凶色とされていますが、江戸時代には大流行、粋でシャレた色「鼠色」と呼ばれ日常的に誰でも袖を通すようになったそうです。青味、赤味、茶味、緑味・・・わずかな色を加えてバリエーションは無限、たちまち男女を問わず心をとらえたようです。

グレイッシュな服は、現代では様々なトーンがあり“お洒落さん”には欠かせないアイテムですね。

能「須磨源氏」は、『源氏物語』から取られた多くの曲の中で、光源氏を主役に据えたのはただこの曲のみ。

のちシテの装束は「許し色の綺羅なるに 青鈍の狩衣たおやかに召されて 須磨の嵐に翻す袂も青き‥とたいへん爽やかに美しい、喪中の人が用いる色とも思われない! 他の殿上人が正装の折にも、ひとり直衣布袴の略装で源氏にしかできない美を発揮している彼の個性。

最近インドからもたらされた「サリー」の受注会が大好評を博しましたが、銀座店に以前からあったサリーのお着物を手に取られたお客様があり、試着されたお姿を拝見しておりましたが、これこそ青鈍の美しさ、はるかな国の絹なのに、日本の古代を思わせる品の良さで、時間も空間も超えて素敵でした。

「サリー」のお着物も間もなく皆様のお手元に届きましょう。どうぞ御期待くださいませ。

店内イベント、二胡と三味線の会ご報告

二胡と三味線の会 盛況でした。
当日はお天気にも恵まれて、まずお食事から入ったのが功を奏したようでした。


みなさまお話しに花が咲いて、演奏者がスポットライトを浴びる頃に発するオーラには半端ないものがありました。エレガントなチャイナドレスの和田由美さんと、小粋に決めた真鍋令子さんが音出しをしただけでもう割れるような拍手。二胡の調べが、西域の向こうからやって来て、大陸を渡り、我が国へ。


受けた三味の音が弾ける頃には、演者と聞き手が一体となって、この着物で囲まれた小宇宙に酔いしれているようでした。

締めは島唄でしたが、その後もエンドレスの宴は続きました。

 

もうすぐ桜の季節〜その2

今日は春の前触れの嵐?東京でも朝から

雨が続いています。

しかし、どうやら週末にかけて気温はグッと上がりそう!桜の季節ももう間近か!

そこで本日も桜の帯のご紹介です。

少し紫がかった桜色のぜんまい紬に合わせたのは、雅な風景の帯。素晴らしい刺繍の帯を活かし、両側に美しい布を足し、新しい帯へと再生させました。

御簾の向こうに見える桜。そして雪持ちの松。桜の季節だけではなく早めから使える帯ですね。

胴前も桜と松の競演です。

次はちょっとしたお出かけからカジュアルまで重宝しそうなグレーのお召しに、八重桜の刺繍の帯。こちらはソメイヨシノよりも少し長く着用できそう。

優しい薄紫に優しく、細やかな糸の色合いで桜を表現しています。そして春の喜びを表すような明るい緑の葉の色。

胴前にも桜が咲き誇ります。紫ががかったピンクの帯揚げと、緑の江戸小紋の丸ぐけをアクセントにしました。

短い季節だけに締めることのできる桜の帯の贅沢さ。ぜひ、今年はトライしてみませんか?

ぜんまい紬:22-09-14  154,000円 裄1尺7寸3分(1尺8寸迄可能)、身丈4尺2寸5分

御簾と桜と雪持ち松の帯:35,000円

グレーお召し:33,000円 裄1尺6寸5分、身丈4尺1寸

八重桜の刺繍帯:24-02-18 50,000円(全て税込)

◆お知らせ◆〜瀬川敦子篆刻展〜

瀬 川 敦 子 篆 刻 展

2024年3月7日(木)〜3月14日(木)

12:00〜18:30

(会期中無休・最終日17:00迄・全日作家在廊)

SAION de la

サロン ドゥ ラー

中央区銀座1−9−8 奥野ビル607  TEL03−6228−6108

 

春のこの時期に個展を開催されていらっしゃいます

雨水〜啓蟄のこの時期は草花が芽吹きあらゆる生命が目覚めるころ

ひとつひとつ彫出される文字を味わってみませんか

何か素敵なものに出会えるかもしれません

 

もうすぐ桜の季節

今日は雨模様でまた寒くなりましたが、桜の開花は3月の半ばとのこと。

そこで本日は桜文様の帯のコーディネートのご紹介です。

スッキリとした山繭紬に染めの帯を合わせました。可愛く刺繍も施されています。

川面に浮かぶ舟の上には色とりどりの季節の花が。桜だけではありませんので長い期間お使いいただける重宝な帯。青色が効いて子どもっぽくありません。

帯留にも可憐な桜と葉。銀と螺鈿細工です。

山繭紬100,000円 裄1尺7寸、身丈4尺3寸 帯30,000円 帯留(3810)19,800円

次にご紹介するのは縫い紋の入った少しオレンジがかったピンクの無地の結城紬に、やはりオレンジ系の桜文様の帯。

幔幕を張ってのお花見の様子は、疋田柄と素晴らしい刺繍で表現されています。

胴前は無地ですっきりと。桜貝で拵えた帯留めをあしらいました。模様の入った帯揚げにしても良いですね。

結城色無地着物 80,000円 裄1尺7寸、身丈4尺4寸、22−02−29幔幕に桜紋様の帯 50,000円、桜貝の帯留 16,000円 全て税込

いかがでしたでしょうか?今年は桜紋様の帯をぜひお楽しみください。

3月10日(日)は店内イベントのため17時閉店となります。お出かけの際はお気をつけ下さい。

 

春になったら羽織

まだ寒いけれども空気は少し春めいてきましたね。

春になったらぜひ着ていただきたい幕末・明治期の江戸小紋が新入荷いたしましたのでご紹介いたします。サイズもたっぷりです。

遊び心のある切り継ぎ羽織2点、久しぶりに入荷しました。裄1尺8寸、身丈2尺8寸、132,000円

こちらは少し明るめの色が入っています。1尺8寸2分、身丈2尺8寸、132,000円

上記2点の羽裏はこちら。麻の葉模様の絞り。臙脂色が明るめで華やかです。
そして大きな紋がアクセントの江戸小紋の羽織。こちらは一色の正統派。裄1尺8寸、身丈2尺8寸、120,000円(全て税込)

こちらは羽裏が茜色の絞りです。

こちらの羽織シリーズはお着物姿をとても雰囲気あるものに仕上げてくれる優れもの。

灯屋2オススメのオリジナル羽織、ぜひ、手にお取り下さいませ。

なお、3月10日(日)は店内イベントのため17時閉店となります。

お出かけの際はご注意下さいませ。

圧巻のひとえ「Kコレクション」販売会のご案内

春はふらり、ふーらりとどこかで遊んでいます。このまま春になっていいのかしら?というわれわれの心根を見透かされているようです。

皆さまには日頃のご厚情ありがとうございます。

このたび、特に上記のご案内をすることになりました。
Kさんは30年に渡って灯屋2のお客さまでした。
Kさんのきもの愛と審美眼には特別なものがありましたが、中でも昭和初期の単衣の美しさは絶品で、その数にも驚かされます。
帯も含めて、その全てを今回特別出品することになりました。皆様に広くご覧頂きたく、どうぞ予定を立ててご来店くださいませ。

日時 3月23日土曜日 11時から

会場 灯屋2  銀座店

お葉書によるご案内はお出しせず、ホームページとインスタグラムで週末頃よりご紹介していきます。
なお、3月10日(日)は店内イベントのため17時閉店となります。お出かけの際はご注意下さいませ。

東京マラソンと浦野理一の鼻緒?

今年も3月3日(日)に東京マラソンが開催されます。

灯屋2前の銀座通りは10時〜15時位まで横断が規制されますので、ぜひお出かけの際はお気をつけ下さい。https://www.marathon.tokyo/

さて、マラソン界では厚底シューズが世界を席巻していると聞きます。記録にはもはや欠かせないものになっているようですが、やはり履き物は機能が重要ということでしょうか。

そこで本日は、着物姿でもとっても歩きやすい浦野理一の鼻緒の下駄をご紹介致します。今回、鼻緒は少し太めに作ってもらってもらいましたので、尚更足の指に優しい作りです。

黒消し舟型下駄Mサイズ 23,000円

茶竹舟型Mサイズ 26,000円

最後にカラス舟型Lサイズ 26,000円 (全て税込)

いかがでしたでしょうか?すぐお履きいただけますので大変オススメです。

また、鼻緒をお好きな布から選んで作っていただくWSも継続中ですよ!

ぜひ、銀座店にお出かけ下さいませ!

なお、3月10日(日)は店内イベントのため17時閉店となります。お出かけの際はご注意下さいませ。

お客様の装い〜梅の名残を感じながら

新年から暫くお召しいただける梅のモチーフ。そろそろ終わりを告げようとしていますが、過ぎゆく梅の季節をどうぞお楽しみください。

そこで本日は梅のコーディネートのお客様のご紹介です。

最初にご紹介するのは漆を使った大変凝ったお召に、灯屋2オリジナルの梅の刺繍帯のお客様。振りも長めに、素敵なお出かけ着ですね。

次にご紹介するのは、槍梅の帯のお客様。こちらも灯屋2イチオシの幕末・明治期の江戸小紋に合わせられています。大きめの紋が時代を物語っています。

こちらのお客様は深い青がまるで夜空に満開の梅のようですね。素晴らしい古い刺繍の梅の帯を締めて。

最後にご紹介するのはこちらも幕末・明治期の江戸小紋。よく見ると裾模様に梅が染められた大変凝ったもの。渋い丸帯を絞められていますが、帯留は可憐な梅の花です。

お客様の装い、いかがでしたか?季節に合わせた装い本当に素敵です。

ぜひ、皆様もお着物でお出かけください。

尚、誠に勝手ながら3月10日(日)は17:00閉店とさせていただきます。

お出かけの際はお気をつけ下さいませ。

お店で聞く音楽会

寒い日が続きますがお元気でしょうか。
インドからやってきたサリーとカシミールショールの予約会が終わりを告げますと、次はお遊びのお話です。
灯屋2銀座店が始まった頃、嬉しさに舞い上がってミニコンサートを何回かやりましたよね。
コロナも終わり今年こそはと良い年を祈念していましたが、、社会情勢と自然災害は中々それを許してくれません。
でもちょっとだけ息抜きしましょうよ。

久しぶりのコンサートは、「二胡と三味線の会」3月10日  6時より。
少し飲んでお弁当を食べて7時から演奏会です。
参加費無料ですが、演者さんへのおひねりは大歓迎です。
当日はお店を5時で閉店として、お客さまへは1時間退店して頂きます。

(三味線の真鍋さん)

(二胡の和田さん)

西域の彼方から二胡の調べに乗ってしあわせはやってきます。
大陸を超えて我が日本へ 灯屋2へ

コラボは蘇州夜曲と島唄、さくらさくら

三味の音は、真鍋節を入れながら、元気の出る寄席囃子やら端唄やら?ー

参加ご希望の方はご一報ください。満席で終わりとします。