カテゴリー別アーカイブ: 灯屋2旅行記

インド、タイ仕入れ日記 その1

灯屋2と十五人の趣作展には、たくさんのお客さまにご来場いただき本当にありがとうございました。
スタッフ一同心より御礼申し上げます。

展示会の商品紹介などが間に入りましたため、時期を置いての掲載となりましたが10月に店主渋谷とインド・タイに行ってきた仕入れ日記をご覧ください。

「灯屋2の外国布の帯はこんな風にして日本に来るのね~」と面白おかしくお読みいただけると幸いです。

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10月13日 初日

今年は銀座店の移転などもあり、インドへの仕入れ旅行は丸1年ぶり。
空港にいる時から、気持ちはすでに布との出会いに心を躍らせていました。

16時55分ほぼ定刻に成田を出発!

まずはバンコクまで6時間半、いつもは朝便なので夕方便はちょっと新鮮です。
今回はタイ航空を利用しているので、いつも利用する唯一の直行便エアインディアにはついていない設備があり(笑)、好きな映画を見ることができるのでちょっと得した気分。

21時25分バンコク着成田から6時間半(日本との時差は2時間)

いよいよ1年ぶりのインドへ23時45分バンコク発コルカタ行きの搭乗口に行くと「ほら、もうインドにかわったよ]と渋谷が笑いながら言います。
ふと見た私の頭の中に「チャラララ~ン♪」とインドの弦楽器が鳴り、思わずアテンダントに「ナマステ~」。
視覚、嗅覚は、一瞬に場面をかえる力がありますね(笑)。

14日AM00時45分コルカタ着(日本との時差は4時間)
ちょうど1年前の昨年9月ここに降りた時はインフルエンザが大流行で白衣を着た人に体温を検査されました。
今日は静かな空港でチェックを受け入国します。
プリペイドタクシーでチケットを購入し真夜中のコルカタ空港でタクシーを探します。

油断したつもりはないが、「OK!OK!」と言われタクシードライバーの後について行きました。
んっ? ちがう~!!「NO!NO!NO!」とスーツケースを引きながら明るい方へ戻ります。

実は、私まだこの街がカルカッタと呼ばれていたころ、はじめて空港に着いた時に魔法にかかったようにタクシー運転手について行き、10倍くらいの運賃を払わされた経験があります。
今は改築されてきれいになりましたが、14年前のあのシーンは鮮明に憶えています。
このやりとりでインドに着いた事を実感。

そうこうしながら無事ホテルへ到着したのはAM2時20分。
すみやかに就寝です。

明日はどんな布達に出逢えるでしょう楽しみです。

銀座店 白井

インド、タイ仕入れ日記 その2

羽織になるかな

10月14日 仕入初日

コルカタでの一日目昨晩は到着が真夜中、今日は、1軒に行くだけなのでスタートは11時からとゆっくりです。
以前にもお話しましたが、今日向かう所は、インドの美術工芸を志す者達を支援し手工芸で作られる美しい布達を生み出しているお店です。
ここに行く為だけに貴重な時間を使います。

1年ぶりの来店にスタッフが本当にうれしそうに迎えてくれ私達もリラックスして布との出会いを楽しみます。
ちょうどよいところにボディーがありました。羽織になるか・・・と創作中!

コルカタの町にあるこの部屋だけは、まるで別世界。
しずかに流れていく時間の中で没頭しているとランチはどうする?と普通に聞いてくれます。以前もおいしいお手製ランチをいただきましたが、空港まで余裕を持って
行きたいのでチャイをいただきながら仕事をすすめます。
そうこうしている間に迎えのタクシーがくる時間です。安心してタクシーに乗りスムーズに飛行機に乗り込むはずだった・・・

カルカッタの交通事情

外に出るとお祭りでサリーを着た人達で町は溢れていました。
タクシードライバーは、インドでは会った事のないとてもおとなしいタイプの人でクラクションの飛び交う中を消極的に走ります。
何度もブレーキを踏み、進んでは止まりもちろんスピードは出しません。
急いでください!と頼もうとしましたが、幅せまくハンドルを持つ手はぎゅーと緊張しています。
隣に乗った私は何もいえず・・・エンストした車を横で見ながら間にあうかな・・・とひとりごと。

なんとか空港に着きチェックを受けるカウンターまでたどり着くとずらりと並んだ列は止まったまま進みません。
・・・もう定刻の出発15分前です。

空港にて

この写真のあともう待ってはいられない!とインド女性達は自分のバックを高々と上げ私が先よ!!と抗議をはじめました。
まるでモーレツなバーゲン会場のように小柄な私は、もみくちゃになりました。
・・・もう笑うしかない。

無事に飛び立ち1時間近く遅れてデリー空港に到着。

明日から、2日間はニューデリーで過ごします。

インド、タイ仕入れ日記 その3

10月15日 2日目

今日から2日間デリーでの仕入れです。
今回のホテルは初めての所ですが、いつもと同じでとても便利な所。
ニューデリーのホテルは料金がとても高く、東京で宿泊するのと同じくらい・・・1泊2万円とかは意外と普通の値段です。

ビーズを売る少女朝10時にはお店が開いているので一番乗りで馴染みの店へ何件かのお店を歩く途中、ビーズのネックレスを売っている7歳くらいの少女に出会いました。
いつもなら笑顔で通りすぎるところですが、ふと友人の娘に届けたくなりじゃあ、3つね。と言うとあなたには5人友達がいるでしょう!と積極的に販売(笑)されたところです。
細い腕にビーズをいっぱいかけてもう片方の手を精一杯大人の私の肩に伸ばしています。
ちなみにひとつ20ルピー日本円で40円です。
切なくなるような私の気持ちとは逆に少女は胸を張って笑顔です。
さあ、では私達もがんばるぞ!

この日は、その後8軒ほどまわりました。
実は去年代金を払って品物を忘れてきてしまうという大失敗を私はしてしまいました。
たくさんのお店をまわる為、品物は後でとりに来るから用意しておいて~とそのまま日本に帰ってしまったのです。(お恥ずかしい)

さて1年ぶりの今日お店の人は私達を見るなり「あ~っ!!」やっと来たと大喜びしてくれました。
あの日彼はホテルにまで電話してくれたそうです。
すみません・・そして本当にありがとう!!

暗くなってからお楽しみのカレー屋さんに行きました。

ひとつ食べたいカレーがあるのよと今日1日何事もなかったかのように軽やかな声で渋谷が言います。
毎回驚かされる渋谷の方向感覚。
お店のあかりしかないデリーの町をこっちだと思うなあともう歩きだしました。

お楽しみのビールをめざして・・
デリー1日目おつかれさまでした!

インド、タイ仕入れ日記 その4

10月16日 3日目

デリー2日目の今日は車を利用してお店をまわります。

毎回新しいお店を探しますがなかなか見つからないものです。
かといってお客様のリクエストで前に買ったのと同じ物をと思っても、前買ったお店にもう置いていないので本当にその日その時の出会いです。
デリーでの仕入2日目写真のお店は今回がはじめての所、青年が2人のベテランさんから指示を出され棚から出しそれを広げてみせるという段取りです。
約50枚くらいのサリーを次々にどうだ!と見せてもらうので、こちらも集中して選びます。
誇らしげに、とてもいい品物だよ!という彼らの笑顔につられていいかなあ?と思う時もありますが、
よくよく考えてその中で3、4枚買いました。
商談の後は、おいしいチャイをいただきます。
ひと仕事後でなんだかみんなほっとしています。

余談ですが、渋谷の後ろにあるのはマネキンです。なんだかなつかしい(笑)

タクシードライバーには、時々リクエストしていないお店に連れて行かれます。
ここちがうじゃない!と言いつつも布があるとまあ、見てみようかと入ってみるのが私達。
今回はそんな風で思いがけず買えた物もあり羽織やコートがつくれました。
昨日と同じく9軒くらい行った所で、羽織に使う足りない布を探しにドライバーのタイムリミットまでの30分を急ぎます。
デリーに来るとかならず走ってます。デリーの空港にて
スーツケースを預けてあるホテルに戻ったのが、20時。
今日はバンコクまで23時30分の便なので最後にカレー屋さんによって出発です。

夜になったデリーの町をリクシャーで駆け抜けいつものようにおつかれさまでした~

タイからインディアンエアーに乗り換えた時とは逆に今度はお坊さんがいらっしゃいます。
小雨のバンコクに着いたのは、朝5時25分、軽く仮眠を取っていよいよ最後の仕入にでかけます。

インド、タイ仕入れ日記 その5

仕入の前に腹ごしらえ10月17日 最終日
今日はタイでの仕入れです。

実はタイの屋台で食べるのをインドへ行くトランジットの時から楽しみにしていました。
魚のすり身とパクチーが入ったさっぱり麺に辛味を効かせて、なんとも楽しくなるおいしさです!!
午前中ですが、並んで待つ人がいつもいる・・という事はおいしい店というのは万国共通ですね。
インドの食事も捨てがたいですが、やはり私にはタイ料理のほうがあっているのを実感します。

この中から好みの生地を探します バンコクでの移動は、BTS(通称スカイトレインというモノレール)を使います。
今日は、ジムトンプソンに行きます。

ロールになったたくさんの布を前にインドとはまた違ったスタイル。

この後有名なバンコクの渋滞にまきこまれながら、辿りついたお店で、ラオスの80年くらい前の布が買えました。
アンティークのよい物がなかなかみつからないのは、日本、外国も同じです。うれしい~!!

インドほどまわるお店はないのでこの日は3軒で終了!
楽しみにしていた大好きなタイ料理をいただきます。

ホテルの出発は、午前5時。さりげなくおいしいパンとお茶が用意されていました。
お客様への心使い私達もこうありたいと常々思っています。

タイスワンナプーム国際空港より無事成田空港に到着。
こうして現地4泊、機内1泊の弾丸仕入は終了しました。

こうして外国布の帯は日本にやって来るのだと思いながら銀座店に並ぶ商品を見ていただければ、また違った愛しさも感じられるのではないでしょうか。
まだまだ書ききれないことがたくさんありますので、お店にいらしたときにはもっとお話しさせてください。
どうぞうるさがらずにお願いします。(笑)

ご来店心よりお待ち申し上げます。

銀座店白井葉子

インド仕入れ旅行 その4

デリー2日目

今日は車を利用してまわります。
ドライバーはいつも笑顔の小柄なシャシィ。 
「デリーは遠い」という言いまわしがあるほど、今もインドの田舎に住む人達の中には豊かで進んだ生活を夢見て中央都市デリーにやって来る人達がたくさんいます。
彼もはじめて会った時は、結婚したばかりで花嫁は遠い故郷で離れて待っていると言っていましたが、再会の挨拶代わりの嬉しい知らせに「赤ちゃんが生まれ、奥さんも一緒にくらしている」とのこと。
頑張って夢を少しずつかなえていく彼の姿を感じ、私たちも元気をたくさんもらうことができました。

昨日回ったお店は10軒ほどでしたが、今日はこれから夕方までに6軒の予定。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、デリーの交通事情は日本とはずいぶん違い、時には公道でのレースさながら…
タクシーの後部座席とは言え、手に汗握る場面もしばしば。

広いインドでつくられている布には、各地方でのさまざまな技術、種類があり、店によってそれぞれ得意な布が異なります。
インド更紗、カシミール、ベナレスシルク、カンタワーク、カッチのミラーワーク、サンガネールの型染め、絞り…
まだまだあるでしょう。
それを1軒1軒回って布を集めていくのですから、2日で16軒のお店めぐりというのもお分かりいただけるはず。

今日見るお店は少し離れた所にあるので大きなビルが多く、その中にはインド最新の洋服、アクセサリーを扱うお店もあります。
4年くらい前までは、インドにいる間に洋服姿のインド女性に会うのはほんの数人で(女性はほとんどサリーを着ていました)が、ここ何年かは若い世代にサリー姿のほうが少ないようにさえ感じます。

布を捜索中の渋谷


寒い国へ来たのかしらと思うほどのエアコンが効いた大きな建物の中を何軒かまわりますが、1日目と同じように納得いく布にはなかなか巡り合えず、仕事は思うようには進みません。
タクシーも渋滞に巻き込まれ、遅々として進まず…
デリーでは時間だけが進んでいるような錯覚にとらわれることもしばしば。

そこで、予定を変更する事に。
シャシィに渡していたリストにはない所に行くことにしたので突然の事に驚いていましたが、「OK!」といつもの笑顔で車を走らせます。ルート変更のおかげで(前回の仕入れ日記のランチ)の店に通りがかり、おいしいサモサを買いました。
私達もランチは食べていないけれど、シャシィもお腹がすいたでしょう。サモサに大喜びです。
やっと昼食のサモサを購入


残り時間はあと2時間、なんとか目的の店に到着。駆け足で階段を上ります。
のんびりチャイを飲んでいた店員さん達もみんな店から飛び出してきました。
予定変更の甲斐ありでした!
最後の店で

 
実はこの後に もう一度ホテルに戻り、昨日行った店に寄らねばなりません。

時計をチラリと見ながら シャシィが車をとばします。

一番最後の店で渋谷が会計をしている間、待ち合わせを過ぎてしまう事をシャシィに知らせにひとり外に出た時たくさんの車が並ぶボンネットにお猿さんを見ました。
私は足がとまってしまい、見つめあいました。
次の瞬間、高い屋根に飛び上がり姿が見えなくなりましたが、後で聞くと少し離れた場所にたくさん生息しているそうです。

店に戻ると、今度は店員さんが私よりびっくりした顔をしています。
笑っている渋谷にどうしたのと聞くと、年齢を聞かれたので答えたらしいのですが、あまりに予想と違った様子。
驚いている彼に、予想を聞くと「38歳」とのこと。
本当にそうだとしたら、それは驚くことでしょう。
まあ、多少のお世辞もあったにしても、インドの男性もなかなか言うもんです…

笑いながら店を出て、今度はデリー国際空港に向かいます。
ちょうどラッシュアワー。カーレースの再開です。
インドのカーレース


少しほっとして ランチに買ったサモサを食べました。
もう暗くなった窓から見える延々と続く車。
バイクに三人乗りをして家路に向かう家族。
横を過ぎるバスは埃まみれでボロボロです。
なかでも、小さな子供が大きなお父さんの背中にしがみついていバイクに乗ってる姿が今も目に焼き付いています。

みんながんばって生きているんだなあ、日本も昔はこうだったのかな、なんて…
その中から生まれる物だからこそ(もちろんマハラジャもいますが)、私達の心に何かを感じさせてくれるのかもしれません。

インドの女性に纏われるサリーが海を渡り、日本の女性が着物として纏い、帯として身に付ける。
なんとなく不思議にも感じるけれど いつの時代も美しくいたいと願うかわらない女性の心が生む神秘かもしれません。

翌朝 成田空港に無事到着。
日本は心地よい秋晴れです。

渋谷は着いたその日から、創作漬けの日々に入りました。

3日後の26日からの展示会で、インドの布から仕立てた帯も会場に並びます。
皆様のご来場、心よりお待ちしております。

             

                               銀座店 白井 葉子

インド仕入れ旅行 その3

デリーの朝


いよいよ デリーでの仕入れです。
よし 行こう!とホテルを出たもののまだ午前10時前。もう開いてる店はないかと歩いてさがします。
交通量の多いデリーですが、この時間は少し穏やかです。

開いてる店を見つけて、まだ静かな店内に入るとずらりと布が並んでいます。
たくさんあっても気に入るものはなかなかありません。

朝でもデリーは日射しが強く、渋谷は日傘、私は大きめの帽子をかぶって早足で先を急ぎます。
どの店でも渋谷の顔をみると久しぶりの来店に歓迎を受けます。
何か良いものがあればと探しますが、私達の要求を満たすものにはそう簡単に出会えず…根気よく探して回るうちあっという間に3時半。すでに5時間以上もデリーの街を歩き回っていることになります。
なんかお腹が空いてきたような気もしましたが、今日中に必ず行きたい2軒を目指します。

残り1軒になった所で時間があまりなくなってしまいました。
デリーの町を(荷物を入れる為の小さなキャリーバックを持っているので) からからという音とともに20分近く小走りで駆け抜けます。
道を熟知している渋谷は背中が小さくなっていくほどの速度です。
空腹と暑さの中、走りながら思わず笑い出していました。
デリーでの仕入れ風景

店に着くと、他のお客さまには許可されないスタッフエリアにいつものように どうぞ とカウンターを開けて通してくれます。
この店にあるサリーは デザイン、布ともに洗練され高品質。
実は閉店時間を30分間違っていて、急いだおかげで ゆっくり選ぶ事も出来ました 。
出来上がりを想像するとうれしくてうれしくてまたひとり笑いです。
お腹がすいたわね! と最後に目指すは カレーの美味しいあの店。

今日はじめてのリクシャーで風を浴びながら明日でインドを離れるんだなぁと…
ふと淋しいようなデリー1日目の終了です 。

インド仕入れ旅行 その2

マザーのお墓


マザーハウス1階にあるマザーのお墓です。
お花で ”TO LOVE AND TO BE LOVED”  「愛しなさい そして 愛されなさい」と書いてあります。
写真だと大型のバースデイケーキのようにもみえます。
いまもなお皆がどれほどマザーを愛しているかを感じずにはいられません。
この日も世界中からいろんな人が訪れていました。私もその中のひとり。

コルコタの街並み

徒歩で約25分 ホテルへ帰る道すがら いろいろな人やお店とすれちがいます。
日本では見られない光景ですが、はじめて来た11年前のコルカタとはずいぶん違っています。
取り残された感じがしていたコルカタですがインド全体が少しづつ経済成長してるんですね。

10:00am いよいよ仕入れ開始です。

ホテルまで迎えにきてくれた車に乗り、1日かけてコルカタまで足をのばしてでも立ち寄りたいお店に向かいます。
布だけではなくインドのアーティスト達を支援育成している女性とスタッフでつくったお店で2007年にはThe weavers studioセンターも設立。
そこでは、紙、ガラス工芸、陶芸、美術、アクセサリー、音楽、演劇またそれに関係する書籍やCDなどもみることができるそうです。

コルコタでの仕入れ

 

店内には質の良い素敵な布がたくさん並んでいます。テンションが上がりあっという間に3:00pmになってしまいました。
顔なじみのスタッフにすすめられちょっと遅めのランチをいただきます。
とっても美味しいスタッフの手作りランチ (灯屋2のお昼となんだか似てる)と思いつつ、事務所の本棚をみるとたくさん日本版の布に関する書籍がおいてありました。
ここのお店では絞りのテクニックを日本語読みで”しぼり”と呼んでいます。
日本の染色技術はインドでも認められています。

アイロン屋


空港までのタクシーに乗り込む時みたアイロン屋さん  です。

17:00  コルカタを出発    
明日から 2日間デリーでの仕入れです。

次回に続きます…

インド仕入れ旅行 その1

こんにちは 銀座店白井です。
気持ちのよいこの季節
秋空にお着物でご来店くださるお客さまの美しい笑顔と着こなしにスタッフの心もはずみます。
 
先日、5日間の日程で店主渋谷と2人でインドに行きました。
今回はこの仕入れ日記を紹介いたします。
この時出会った布達が帯に仕立てられ、お店にたくさん並びはじめました。
ご覧くださった時、ふと思い出してお楽しみいただければうれしいです。
 
1日目  11:50am 定刻より10分早く成田国際空港を出発 
今日の最終目的地コルカタまでほとんど1日かけて行きます。
最初の目的地デリー国際空港までまずは8時間30分の空の旅です。
ちなみにインドと日本は3時間半の時差があるため、日本時間は21時を過ぎていてもデリーはまだまだ夕方です。

16:55  デリー空港到着 ここで国内線に乗り換えます。
コルカタに向かうフライトまでの3時間は空港内で待機です。
椅子にすわりぼんやりしていると、サリーを着た女性達の姿が目にはいりインドに来たんだ…と嬉しくなりました。
 
空港内にはインド最新の足専用マッサージ機が設置されていて、さっそく体験してみました。 
なんとなく得した気分で足どりも軽くコルカタ行きへ乗り込みます。
コルコタのインフルエンザ検査


22:10 コルカタ空港到着  
インフルエンザ対策の完全防備の服装で迎えてくれました。入国する人の額に小さなピストルのような物(たぶん体温計)
を当ててピッ! という音が鳴ったらセーフのようです。入国を許可され、タクシーでホテルへ向かいます。

23:55 もうすぐ日が変わります。東京から14時間…
ホテルに無事到着  明日からのワクワクする布との出会いを夢にみながら就寝します。
二度の機内食のカレーはどれもおいしかったなあ

2日目  6:30am 起床  
 
カルカッタ(現在はコルカタ)と聞くと皆さん何を思い浮かべますか?

1946年  ヒンズー、イスラム教徒による宗教対立が起き、また翌年インドはイギリスより独立。 
同時にパキスタン国が成立しました。その時、東パキスタンからものすごい数の難民がカルカッタになだれ込み行き場のない人々は路上生活をはじめます。
そのスラムに自らが入り 生活しシスターテレサは奉仕活動をはじめます。
マザーテレサと皆から呼ばれるよなった後も生涯かわらず。

マザーハウス

 

ここコルカタにはマザーテレサ(1910年-1997年)の残したマザーハウスがあります。 
今日の仕事は朝10時からスタートの予定。9時からの朝食前にひとりでマザーハウスに行ってきました。

午前7時過ぎにホテルを出ると制服を着たかわいい子供達に会います。コルカタの町はちょうど通学の時間。 
日本のように友達と並んで歩く生徒もいますが、父兄が付き添い登校する家庭、そして学校の近くは人力車(リクシャー)の送迎ラッシュで驚きました。 

朝の登校ラッシュ

 

38歳のマザーがたったひとりスラムでの奉仕活動を始めた時 まず最初にスラムの子供達への教育活動として青空学校をつくりました。
現在も子供達みんなが学校に通えるわけではありません。けれど子供達の瞳は希望の光を失ってはいません。
学びたいと願う子供の希望が叶う世界へ、皆が平等に教育を受けられるようにと願います。

小宮染色工場訪問記

小宮染色工場

先日、小宮染色工場を見学させていただいた時の様子をご紹介したいと思います。

灯屋2では小宮さんの江戸小紋を扱う事もあり、シミ抜きや洗張をお願いするうちにご縁が出来まして見学をさせていただける事になりました。
工房は昔ながらの土間の作業場で、天井には張り板が整然と並べられています。
正に、職人さんの聖域という感じです。私たちが見学したときはクーラーも入れていただいて、窓からの光も差し込む快適な工房といった感じでしたが、実際は湿度90%、真っ暗の工房内で裸電球の灯で手元だけを照らし、夏は噴き出す汗と闘いながら作業をなさっているそうです。
主に説明していただいたのは小宮康正さん。
江戸小紋の型を合わせていく事が難しいのかと思いがちですが、型を合わせていくのはそれほど難しいわけではないそうです。


小宮康孝さんそれよりも1反(約13m)を長さを力加減を均等に型づけしていく方が難しいそうです。
江戸小紋というと、型づけのイメージが強いのですが、それだけではない作業が沢山ある事に驚きました。
今では染めの技術は科学的に証明できると思いますが、昔は経験と感覚、それこそ五感やそれ以外の感覚を研ぎ澄まして行われる作業なのでしょう。

その後、小宮康孝さんの染めに関するお話を伺いました。
染料の研究を長年重ねてきて、色ヤケしない、色落ちしない染料に辿りついたそうです。
小宮さんの江戸小紋は染めが良いのでシミなどがついてシミ抜きをしても、元々の江戸小紋の染めは落ちないという事です。


染色風景たとえて言うと、腕の悪いシミ抜き屋さんが作業してもシミだけが落ちるそうです。
色々な布を見せて説明をしていただきましたが、どれも美しく素晴らしいものでした。
越後上布に染めた布は本当に美しく、皆写真を撮ったほど。
小宮さんは、職人である以前に、物を見る目が素晴らしいのでしょう。
自然界の中の美しい物、それも人が気に留めない物でも見出す力のある方なのだと思います。

物の中に存在する美しさを見いだし、それを美しいと思える心のある方なのだと思います。
小宮さん曰く、「美しい物は自ら輝いている。」と。
小宮さん自身が輝いているのだとスタッフ一同思ったに違いありません。

工房の片隅にオードリーへップバーンがこちらの工房を訪れた時のお写真がありました。
奥さん以外に手を握ったのは彼女だけだと言った笑顔も輝いていました。

小宮さんは後世になっても価値が下がらない物を残していきたいとおっしゃっていました。
着物は新品でない限りは“古着”という扱いになってしまします。
そのためにも、色落ち、色ヤケしない江戸小紋を作りだしたのでしょう。
いつまでも美しい色を放っている着物なんて本当に素敵ですね。

最後になりましたが、お忙しい中お時間を作っていただいた小宮染色工場の方々に御礼を申し上げます。
訪れたスタッフにとって、とても思いで深い1日となりました。

アトリエ担当 上杉