宗廣力三作郡上紬
着物13-5-7
茜を基調とした微妙な濃淡の染めで、1980年ごろの作と思われます。
この着物を前にした時に、まず目に入るのは包容力のある優しい色と図柄。
しかし近づいて色を追っていくと、その複雑な仕組みに戸惑い、目線を失ってしまいます。
斜め格子を織り出す糸が、経緯共ぼかしに染められていて、その薄い色の中に経の白い縞が入り、周りに吸い取られながら消えていくように見えるので、まるで濃い部分の白が浮かんでいるようにも見えます。
深みのある明るい暖色に幻想的な趣が加わって、奥行きのある美しい着物になっています。
工芸展出品作の作風とは違って、どこかほっとする作品。
洗い張り後、仮絵羽に仕立ててあります。